10月3日夜、円相場は一時、1ドル150円台をつけました。今年に入って、最も円の価値が下がったことになります。私たちの暮らしにどのような影響がでるのか、山口県で専門家や事業者を取材しました。

東京商工リサーチ山口支店 佐々木規宏支店長
「円安になることで、海外からの輸入品の購入価格がどうしても高くなってしまう。国内での消費という部分では物価の上昇という形で、悪い影響が出てくるという形になる」

東京商工リサーチ・山口支店の佐々木支店長は「円安で物価高に拍車がかかる可能性がある」と指摘します。2020年秋ぐらいからみられるようになった円安の傾向。その背景にあるのは、アメリカと日本の金利の違いです。

アメリカでは物価が上がり続けているため、金利を上げて金融の引き締めが行われているのに対し、日本では消費を促そうと金利を下げる金融緩和の方針がとられています。その結果、金利の低い円よりも金利の高いドルを求める人が増え、円の価値が下がる円安となっています。東京商工リサーチによると、飲食料品メーカー200社の10月の値上げ商品は、4100品以上に及びます。暮らしに欠かせない調味料や加工食品などが値上がりし、家計への影響が懸念されていますが、この円安が続けばさらに深刻化する恐れがあります。影響は、個人だけにとどまりません。

佐々木支店長
「事業者も大きいところ以上に小規模の事業者さん、体力が小さいところ、少ないところは、大きいところとの取り引きをしたり、少ない資金の中でやりくりをしたりしています。原料高になってしまうと、利益の出しようがない状況になってくる」

価格転嫁は簡単にできないため、厳しい状況だといいます。食品関係や運送業、農家、衣料品関係など影響は多岐に及ぶとみられています。東京商工リサーチによると、2023年8月の倒産件数は全国で760件でした。17か月連続で前の年の同じ月を上回っていて、8月は50パーセント以上増えています。

佐々木支店長
「円安と原因というのは、金利の差。これを解消する手段というのはなかなか今みなさん頭をひねっても出てこないんじゃないかと思うんです。なので、おそらく長期化していくという可能性が高いかなと思ってます」