中国で23日開幕したアジア大会にインドの選手3人が出場できず、インド政府は「差別的な扱いを断固拒否する」との抗議声明を出しました。国境地帯の領有権をめぐる対立が背景にあるとみられます。

中国の杭州市を中心に開催されているアジア大会には、45の国と地域から1万人以上の選手が参加しますが、インドメディアによりますと、武術競技で出場予定だったインドの選手3人が登録に必要な書類を受け取れなかったということです。

選手3人は、中国とインドが領有権を争う国境地帯にあるインド側の実効支配地域・アルナチャルプラデシュ州の出身です。

インド外務省は22日、「中国の計画的な妨害」によって選手が出場を拒否されたとする声明を発表。「居住地や民族に基づく差別的な扱いを断固拒否する」として中国側の対応に抗議しました。

そのうえで、「アルナチャルプラデシュ州は昔も今も、インドにとって不可欠で譲ることはできない」と強調しています。

また、中国への抗議として、予定していたスポーツ担当相の中国訪問を取りやめたということです。

これについて中国外務省の毛寧報道官は22日、「開催国として、すべての国の選手が合法的な書類をもってアジア大会に参加することを歓迎する」と述べたうえで、「中国政府はいわゆるアルナチャルプラデシュ州を認めていない。中国の領土の一部だ」と主張しています。