新型コロナの山口県内の流行状況は、9月10日までの定点把握で1医療機関あたりの感染者数は17.05人とありますが…イメージしにくいですよね。実は、この数字、第8波のまっただ中の今年1月下旬ごろと同程度の感染者数なんです。

その時は、1日あたりおよそ800人の感染が報告されていました。

5類に移行した当初は、1医療機関あたり1.52人で、そのときと比べると若干波はあるのですが、増えているのが一目で分かります。

ただ…今はやっているのは新型コロナだけではありません。インフルエンザもです。

インフルエンザは、9月からの1年を1シーズンと捉えるのですが、県内で流行期となったのは今年1月からで3シーズンぶり。

そして、例年であれば、夏に流行期が終わるということですが…今年は、そのまま9月を迎えてしまいました。

つまり、流行期が途切れることなく、新しいシーズンを迎えたということです。新型コロナにインフルエンザの同時流行というこの状況。

学校では、コロナとインフルエンザによる学級閉鎖が相次いでいます。

専門家に、今後の見通しを聞きました。

良城小学校(山口市) 宮崎康生校長
「(インフルエンザに感染した児童は)2学期始まってまだぽつぽつという状況ではありましたので、本当に増え方については予想を超えていたという風に思っております」

山口市の良城小学校では、インフルエンザに感染した児童が先週末から増え始め、おととい(11日)急増。学級閉鎖の措置をとることにしました。

宮崎校長
「コロナによる学級閉鎖を余儀なくされたこともありましたけれども、インフルエンザによる学級閉鎖は少なくともここ数年とっておりません」

学級閉鎖となった教室では消毒作業が行われました。

新型コロナの感染者も0ではありません。

2学期には修学旅行や音楽祭などのイベントを控えていて、学校は警戒を強めています。

宮崎校長
「感染防止ということで手指消毒と暑い日が続いてますけどもエアコンをつけたうえでの換気。マスク着用については任意になっておりましたけれども、子どもたちのほうにこういう状況であるからマスクを付けるようにという形で協力をお願いして対応しております」

保護者に児童の健康管理や、家庭での感染防止対策もお願いしました。

山口県健康増進課によりますと、前のシーズンは131の学校や就学前施設で学級閉鎖などの措置が取られました。このままのペースで感染者が増えると、前のシーズンを上回る可能性が高いとみられています。

学校側にとって気を抜けない日々は続きます。

警戒が必要なのは、新型コロナにインフルエンザだけではありません。

県小児科医会の会長を務めるたはらクリニックの田原卓浩院長は、5類に移行して全国的にRSウイルスや溶連菌などの感染症も多くなったと言います。

たはらクリニック 田原卓浩院長
「感染症対策をしっかりやっておられたので、従来はやるべき流行すべきタイミングで流行しなかったということが、ずれて同時にということが考えやすい1つの理由ではないかという風に思いますけれども」

今後注意が必要なことに、新型コロナの新たな変異株「EG.5(イージーファイブ)」通称「エリス」をあげました。

田原院長
「約3割から4割、あるいは場合によっては5割近くはEG.5と言われているものですけれども新しい株に置き換わっているように聞いております。感染力がやはり高いと言われておりますが、もう1つの懸念材料は免疫をすり抜けてしまう性質があるのではないかということが指摘されておりますので」

同じ空間にいる時間の長い家庭や学校での感染を懸念しています。

田原院長
「このように2つの感染症が同時に流行しておりますので、流行状況を見ながら、集団の予防をするという意味では、思い切ってそういう(学級閉鎖)対策を取ることが重要ですし、あまり短期間にしようとしないで、しっかりとした時間をかけることが肝要だという風に考えております」