岡山の真ん中に位置する吉備中央町で、一風変わった建物が話題を集めています。材料は台風シーズンに活用されているあるもの。一体なんでできているのか。吉備中央町に行ってきました。

(杉澤眞優キャスター)「あっ、なんかありますよ。えっ、何?何?えぇ~?なんじゃ、こりゃ~、謎の建物発見!」

緑豊かな吉備中央町高谷に建てられたコミュニティ・スペース「はれまに」です。映画やアニメの世界から飛び出してきたような外観が印象的な建物。中に入ってみると…。

(杉澤眞優キャスター)「あっ、涼しい。声も、あ、あ、わかります?響きますね」

(杉澤)「これは何でできているんですか?」

(愛甲武志さん)「これはアースバッグ工法っていうやり方なんですけど、土のう袋に土を詰めて積み重ねるっていうやり方なんです」

2008年に大阪から移住してきた「はれまに」オーナーの愛甲さん夫妻。

「はれまに」に使用されているアースバッグ工法は、土のう袋をドーム型に積み重ねる工法で、高い強度のため地震や災害に強く、不燃材である土を使用しているので火事にも強いといいます。

個人でも建てられるため世界各国で用いられているアースバッグ工法。

(愛甲ひろこさん)「ほんまにやんの?とは言いました」「吉備中央町のサグラダ・ファミリアと(笑)」

元々、土の家に興味があった武志さんが自分たちで建てようと始めた「はれまに」。

知り合いやボランティアの力を借り約10年かけて、今の建物ができましたがまだ、製作は続いていると言います。

吉備中央町での生活を満喫している愛甲さん夫妻ですが、移住を決めたのは単に田舎暮らしに憧れていただけではないといいます。

(愛甲ひろこさん)「阪神大震災で水とガスと電気がもう一瞬で全部が止まってしまった状態っていうのを生まれて初めて体験したときに、なんか自分の無力さっていうのを本当にすごく痛烈に感じて、いつか、そういう全てが止まった時でも笑って過ごせるところ。で、ここに来たらみんなが安心して、過ごせる場所っていうのを作りたいなぁって」

震災の経験もあって、いつか自然とともにゆったりと自分のペースで生活をしたいと考えていた愛甲さん。そうして出会ったのが土のうをつかったアースバッグ工法でした。

より多くの人に「はれまに」と吉備中央町の魅力を知ってもらおうと定期的にカフェも始めました。

(愛甲ひろこさん)「ここももう、限界集落で、本当に住まわれる方もどんどん少なくなっていっているんですよ。こういう生活が興味ある方とかが、若い人たちとかも、少しづつ移住してきたりとか、少しでも多く、増えてくれたらいいなぁって」

(武志さん)「この場所っていうのは自然と人と触れ合いとか求めている方とか、そういった方たちの集える場所になればなぁと思っています」

岡山では珍しい土のうを使った不思議な建物。ハレマニは岡山市街地から車で約1時間。

絵本のような景色を見に行ってみてはどうでしょうか。