2年前、イスラム主義組織タリバンが再び実権を握ったアフガニスタン。当時、離陸するアメリカ軍機につかまり、国外に逃れようとする人々の映像が衝撃を与えました。その飛行機から落下し、死亡した青年の思いとは…。遺された家族を取材しました。
2年前の8月16日、タリバンが制圧したアフガニスタンの首都カブールの空港には、国外に逃れようとするアフガニスタンの人たちが殺到しました。撤退するアメリカ軍の輸送機とともに滑走路を走り、機体につかまる人々。この映像は世界に衝撃を与えました。
今回、当時の様子を捉えた新たな映像を入手。
「おい、このままだと、あの人たち落ちるぞ!」
別の角度から輸送機につかまる複数の人の様子が確認できます。その中にいる赤い服を着た男性。ソレイマンさん、当時21歳でした。
ソレイマンさんの母親
「あの朝、出かけようとしたソレイマンが戻ってきて『お母さん、言わないといけないことがある』『やっぱり隠し事はできないから』と。どうしたの?と聞いたら、『僕たちを海外に逃がしてくれる飛行機に無料で乗れると、友達が教えてくれたんだ』って」
あの時、一体、何があったのか。私たちはソレイマンさんが空港に駆けつけた時の映像を入手しました。
ソレイマンさんの友人
「アフガニスタンの状況を見てくれよ。愛することさえ許されないんだ」
ソレイマンさんに同行した友人が撮影した映像。赤い服を着たソレイマンさんが高揚した様子で空港の中央に向かって走っていくのが分かります。
ソレイマンさんの友人
「僕たちで飛行機を飛ばそう!ちゃんと動画撮れよ。ソレイマン、お前のおじいちゃんはパイロットだったんじゃないか? そうだろ? 早く飛行機に向かおうぜ!僕たちはカナダに行くんだ!」
このわずか1時間後、ソレイマンさんはつかまっていた飛行機から落ち、死亡したのです。
「落ち着くんだ、もう泣くのをやめよう。遺体が見つかっただけでも良かった」
ソレイマンさんの母親
「上空を飛行機が通過すると耐えられないんです。飛行機につかまったまま上空から落ちてしまうなんて。ソレイマンも知っていました。山奥や砂漠で戦ってきた野蛮なタリバンが来たら、仕事がなくなるって」
ソレイマンさんは一家の稼ぎ頭でした。父は薬物中毒になり、ほとんど家に帰ってくることはありません。さらに、ソレイマンさんの弟・イルハム君は生まれつき重い病を患っていて、医療器具が手放せないのです。
ソレイマンさんがあの日、なんとか飛行機に乗ろうとしたのは、イルハム君の手術代を海外で稼ごうと思っていたから。しかし、今、一家の収入は激減し、この日の昼食はパン1枚を囲むのがやっとでした。
国連によりますと、アフガニスタンでは今、人口およそ4000万人のうち85%が貧困ラインを下回っていて、1500万人以上が深刻な食糧不足に陥っています。
ソレイマンさんの母親
「でも、私たちのような貧しい人の声を誰が聞いてくれるの」
タリバンによる統治が始まって2年。国際社会の継続的な支援が求められています。
注目の記事
「この世の終わりのようだ」オーストラリアの空が血のように赤く 一体なにが?

能登半島地震で妻子4人亡くした警察官 44歳の再出発 「制服を脱ぎ、ギターを手に」

「小学生が両親と自転車でお出かけ、どこを走れば良い?」4月からの青切符導入で変わるルールと反則金【Nスタ解説】

はみ出して追い越してもいい? 山中の道路に現れた謎のセンターライン 誰も正解にたどり着けず…警察に聞いてみると意外な回答が

「妹が勇気をくれる」ダウン症の妹の自立と成長を綴り文部科学大臣賞 小6の姉が作文に込めた妹への”尊敬”と”支えの形” 広島

「そんなドジはしない」整形と偽名で逃亡した福田和子 時効まで残り1年、背水の陣の警察が放った日本初の“懸賞金”【前編】









