今春の第94回選抜高校野球大会への出場を新型コロナの影響で辞退した京都国際(京都)と、補欠校から代替出場し、準優勝に輝いた近江(滋賀)が、8日にマイネットスタジアム皇子山(滋賀・大津市)で練習試合を行った。近江の多賀章仁監督が京都国際の小牧憲継監督に呼びかける形で練習試合が実現した。

水曜日の午後6時プレイボールと、高校生の練習試合としては珍しく平日のナイター開催となった練習試合にも関わらず、約500人の観衆が集まった。
近江の先発は、今秋のドラフト候補にも挙がる山田陽翔(3年)。5回6奪三振、被安打2、無失点の内容でセンバツ準V投手の貫録を見せた。山田は「京都国際さんの辞退によって出場したセンバツは自分たちにも複雑な思いがあった。だからこそ今日こうして戦えたことが楽しかった」と試合後、笑顔を見せた。
一方、同じくドラフト候補の京都国際のエース・森下瑠大(3年)は、登板せず「4番・指名打者」で出場。近江・山田から右前安打を放つなど3安打、バットで存在感を示した。森下は「山田のスプリットが真っすぐと見分けがつかなかった。凄いピッチャー。負けた自分たちの方が実力は下。夏に甲子園で戦えたら次は絶対勝ちたい」と甲子園での再戦に意欲を燃やした。
試合後に近江・多賀章仁監督が何度も口にしたのは「森下くんが心配」という言葉。京都国際のエース・森下は、新型コロナ感染の影響などで関節に炎症が生じ、現在マウンドに立つことができない状態にある。報道陣の取材対応が終わった直後、多賀監督は森下を呼び止め「甲子園で戦おう。そして山田とも仲良くしてやって」と相手のエースを激励した。

センバツに出場予定だった京都国際は、開幕前日の3月17日に出場を辞退し、代わりに近畿地区の補欠校1位だった近江が繰り上げ出場。近江は補欠校として初、滋賀県勢としても史上最高となる準優勝に輝いた経緯がある。近江のエース・山田陽翔と京都国際のエース・森下瑠大は中学時代からの友人で、センバツ大会中も連絡を取り合い、山田は京都国際の思いを背負っての決勝進出だった。
■山田陽翔(やまだ はると)近江高校
2004年6月9日生まれ、18歳。右投右打 174cm76kg。最速149キロ 、甲子園通算10 試合登板 (21 夏ベスト4 、22春準優勝)、U18日本代表候補
■森下瑠大(もりした りゅうだい)京都国際高校
2004年9月19日生まれ、17歳。左投左打 179cm76kg。最速144キロ、甲子園通算6試合登板(21春ベスト16、21夏ベスト4)