北朝鮮に拉致された可能性がある「特定失踪者」大澤孝司さんの兄 昭一さんが新潟県警に拉致事件として捜査するよう求めていたことについて、県警が「拉致だと認定するには至っていない」と回答していたことが分かりました。
大澤孝司さんの兄・昭一さんは6月、新潟県警本部に対し弟の孝司さんの失踪は「北朝鮮による拉致である」と表明することと、その上で改めて捜査することを求めていました。

【大澤孝司さんの兄 昭一さん(87)】
「これまでにない形の内容のお願いもしました。それも、これも、とにかく『もうここしか私のお願いする場所はないな』という気持ちで」

県警によりますと、この要請に対し今月3日、大澤さんに「拉致だと認定するには至っていない」と回答したということです。

【兄 昭一さん】
「私たち特定失踪者に対して、拉致と認定したくないという前提があるのだと思います

大澤孝司さんは1974年2月、県の職員として赴任していた佐渡市の当時の新穂村で行方不明になりました。

北朝鮮に拉致された可能性を排除できない「特定失踪者」とされていますが、政府が認定する17人の「拉致被害者」には含まれていません。

【兄 昭一さん】
「認定してもらってこそ北朝鮮との交渉の際に、交渉テーブルで『この人を救出してください』って交渉が出ますけども、(今の段階だと)交渉のテーブルに乗るものだか、乗らないものだか家族にとって心配です」

新潟県警は「拉致だと判断できない」とする根拠について、捜査に支障があるとして明らかにしていませんが、判明した事実があれば今後も回答できる範囲で説明していくということです。
