空襲を3度経験 田ヶ谷雅夫さん:
私の家は焼けなかったけど、すぐ近くまで火が迫ってきて。消防車のサイレン、焼け出された人の叫び声は聞こえるんです。もう空一面がですね、真っ赤な炎に囲まれて。その晩はですね、遠くの火炎で新聞が読めました。

夜が明けて、田ヶ谷さんは惨状を目の当たりにします。

空襲を3度経験 田ヶ谷雅夫さん:
死体を集めている2つに分けて。(片方は)真っ黒に炭化した死体を無造作に積み上げて(もう片方は)ちゃんと衣類を付けている。まるで生きているようなそういう死体を積み上げている。それをトラックで時々積み込んで火葬場かどこかへ持っていく。

空襲を3度経験 田ヶ谷雅夫さん:
これが戦争なんだと。本物の戦争はね、勝った負けたで喜んでいる現地の問題ではなくて。これが本当の残酷な戦争なんだと。

東京大空襲のあと、田ヶ谷さん一家は埼玉県熊谷市へ疎開しますが、そこで3度目となる「熊谷空襲」を経験します。