刑期10年以上、無期懲役囚が半数占める岡山刑務所で...

今、全国の刑務所で「受刑者の高齢化」が進んでいます。法務省によりますと、受刑者の総数は年々減っているものの、「高齢者の割合は全体の15%に近づく」など増え続けています。

なぜ高齢化が進んでいるのか。また、どのような問題が生じているのか。岡山刑務所を取材しました。

(刑務所のグラウンドにて)
「宣誓!われわれ選手一同は各組一丸となり、昨年開催されなかった運動会の分も全力で競技することを誓います」

岡山市北区の岡山刑務所で5月、年に1回の運動会が行われました。新型コロナが落ち着き、例年と同規模での開催は2年ぶりです。

(受刑者(50代))
「一緒のことを一緒の目的ですることは、非常に有意義だったと思う。自分自身、目標を持つことって本当に大事だなって実感しました」

刑務所で進む高齢化...何故?

リレーや玉入れが行われるなか、グラウンドに車いす姿の受刑者が目立ちます。岡山刑務所は全員が初犯で、刑期10年以上。受刑者約470人のうち「無期懲役囚」が約半数を占めています。

2004年、刑法の厳罰化で無期懲役の刑期は30年以上となり、岡山刑務所でも受刑者の平均年齢は、この10年で6歳も上がり高齢化しました。

73歳の受刑者に、話を聞くことが出来ました。

ー罪名は?
(受刑者)「強盗殺人です」
ーこれまでの刑期は?
(受刑者)「23年です」
ー判決を言い渡されたときの心境は?
(受刑者)
「自分の考えでは当然のことだと思いました。私の場合は死刑無期ですか。最初の2~3年、もしくは5年は一生懸命であっという間に過ぎましたけれど、何年もこうして過ぎていると、自分の生活にしっかりしなければいけない、という気持ちは出てくる」

刑務所の高齢化 何が問題なのか

更生を期待され生かされている命。仮出所の審査が始まる頃には80歳を超えていますが、認められるケースはまれだと言います。

(龍谷大学 浜井浩一教授)
「30年経つと相当高齢化している。仮に仮釈放の条件が整ったとしても、引受人がいない事件が重大で、人が亡くなっている場合には被害者の意向も確認することになる。そうすると検察官や被害者に意向を確認すると時期尚早になってしまう。結果的に無期刑の多くは終身刑化している」