75億円と79万円。まさしくけた違いですが、この2つは同じものを表しています。2022年度のふるさと納税の寄付額なんです。静岡県内トップの焼津市は75億円を集めた一方で、残念ながらワーストとなった長泉町は79万円でした。本来、入るはずの税収がよそに流出している長泉町。ワースト1位脱却を狙います。
緊急事態を受けて、長泉町のトップは危機感をあらわにします。
<長泉町 池田修町長>
「弊害が出ているわけで、それを解決するような制度改革っていうのは必要じゃないかと」
池田町長が制度改革を訴えているのは「ふるさと納税」。近年、各自治体が魅力的な商品を打ち出し、いわば税金の奪い合いに発展しています。
ふるさと納税は、ほぼ右肩上がりにその規模を拡大し続けていて、2022年度の寄付額は1兆円に迫る勢いです。静岡県内の寄付額ランキングを見てみると、トップの焼津市が集めた寄付は75億円を超えています。一方、長泉町は79万円。けた違いどころの話ではありません。なぜ、これだけ差がつくのか。町長は長泉町の特殊な事情をこう分析します。
<長泉町 池田修町長>
「長泉町は町民一人当たりの平均所得ランキングが県下で1番高い。全国でもかなり高い方。そうすると寄付できる、控除される額も大きい」
町民の平均年齢は県内で最も低く、子育て世帯が多い長泉町。それゆえに家計にお得なふるさと納税の制度を積極的に活用しようとする人が多いのです。裕福な街ゆえの悩みともいえますが、ふるさと納税で長泉町から他の自治体に流出した住民税は、なんと1億9,000万円に。この事態を放置するわけにいかないといま、町が取り組んでいるのが現地応援型です。
<伊豆田有希記者>
「長泉町は今後、こうしたQRコードを設置して、利用者にふるさと納税をしてもらうよう呼び掛けます。決済が完了すると、その場ですぐに利用できるクーポンを取得できます」
秘策の1つがQRコード決済。町内にある桃沢野外活動センターでは、利用客がQRコードを読み取れば、ふるさと納税ができるようにします。一方で、悩ましいのが返礼品のラインナップです。トップの焼津市は、特産品である海産物を前面に押し出して、多くの人の支持を集めています。
では、長泉町は、というと、特産品には「あしかた牛」や「長泉メロン」がありますが、いずれも生産量が多くないため、返礼品には採用できないのが実情です。
<長泉町 池田修町長>
「カタログを見て飛びつくような商品がない。あるいは数が少なくて、対応できないというのが長泉町の現状です。現地体験型のものであったり、本来のまちづくりの提案をして、それに賛同をいただいたりという形で進めたい」
あらためて、2022年度の寄付額ランキングを確認すると、同じ県内なのに大きな差がついています。本来の趣旨とは外れているという批判の声もあるふるさと納税ですが、自治体のPRにつながっている面もあり、各自治体は対応を迫られています。
注目の記事
「本当は命を失う場所ではなかった」津波にのまれた指定避難所…震災を知らない大学生が被災地で辿る“後悔と教訓”の15年

「私たち家族の楽しい思い出はすべて消え、苦しみや悲しみに変わった」娘を事故で失った小学校の元校長が訴える“命の尊さ” 修学旅行の引率中に「美果が交通事故で死んだ」と連絡が【第1話】

【「公立いじめ」との声も】授業料無償化先駆けた大阪のいま…公立高校の約4割が定員割れ『私立有利・公立不利』の状況は“負のスパイラル”生む懸念【教育アドバイザー・清水章弘さん解説】

“ながら運転”小学生男児トラックにはねられ2年経つ今も意識不明•生涯要介護も…適用されない『危険運転』両親訴え「罪が軽すぎるのではないか」

家族が死刑囚になったーー「殺人鬼の家族と呼ばれようとも」 残された両親と弟、過酷な現実の中で今も生き続ける

3・11午後2時46分発車の仙石線『命を救った判断』あの日の記憶胸に“ビーチサッカー”で目指す姿【東日本大震災15年】












