「健康的な睡眠」について考える検討会が厚生労働省で新たに始まりました。日本人の睡眠に関する状況が、年々悪化しているということです。“良質な睡眠”の確保に必要なこととは?解説です。
“良い睡眠”とれてますか? 厚労省が新たな指針検討
良原安美キャスター:
皆さんは十分な睡眠、取れているでしょうか?日本人の睡眠に関する状況は年々悪化傾向にあるということです。31日、厚生労働省で“健康的な睡眠”について考える検討会がスタートしました。

その検討会で主な論点となっているのが▼良質な睡眠のための環境作り▼就業形態と睡眠の課題などです。健康作りのための睡眠指針を見直すということです。
ではどうして国を挙げて睡眠について議論をしているのか。実は私達、よく眠れていないのかもしれません。

前回、この検討会が行われたのは2014年です。このとき、良い睡眠は生活習慣病予防に繋がるなどとして「睡眠12か条」が発表されていました。ところが、厚労省が行った「国民健康・栄養調査」で、睡眠による休養が「十分に取れていない」と回答した人が2009年は18.4%、2018年は21.7%と、12か条を発表した2014年よりも上回ってしまっています。
日本は世界で一番「睡眠不足」
しかも日本人は世界的に見ても睡眠不足とされていることがわかりました。
2021年に行った睡眠に充てる平均時間(経済協力開発機構(OECD)調査)では…
1位 南アフリカ ▼9時間13分
2位 中国 ▼9時間2分
3位 アメリカ ▼8時間51分
…
32位 韓国 ▼7時間51分
33位 日本 ▼7時間22分
日本は調査した33か国で最下位になってしまいました。
若新さんは、よく眠れているでしょうか?

若新雄純 慶応大学特任准教授:
睡眠の質は良い方じゃないですけど、寝るのは大好きなんですよ。2014年の国の指針って、良い睡眠は生活習慣病予防に繋がる、「良い結果に繋がるためにこうしましょう」みたいな、明日いい感じで働くためにちゃんと寝ましょうみたいな。でも逆がいいと思っていて「今夜気持ちよく寝るために、今日頑張って働こう」とか、良い睡眠のために頑張る方がいいと思ってるぐらい、寝ることって素晴らしいと思っています。寝ることを手段にして、犠牲にしすぎなんじゃないかと思っています。
日比麻音子キャスター:
未だに寝ずに働いたとか、寝ずに頑張ったということが、まだプラスの意味に捉えられてるところはありますね。
「睡眠に満足していない」40~50代に多い傾向

良原キャスター:
そして日本人は「睡眠の質」も足りていないということがわかっています。
睡眠に関する意識調査(第一三共ヘルスケア「働く世代の睡眠に関する意識調査」)で、睡眠に対する満足度の欄で「満足している」と答えた方が▼30.2%に対し「満足していない」と答えた方が▼42.5%になりました。特に40代から50代に睡眠に満足していない方が多い傾向にあるようです。
そして睡眠に関して“悩み”があると答えた方は81.3%となりました。その内容は…
途中で起きてしまう ▼41.6%
寝ても疲れが取れない ▼35.2%
起床後も眠気を感じる ▼30.1%
寝付きが悪い ▼27.5%
などです。
寝る時間が少ない、睡眠の質が良くないと、他にもこんな影響があるようです。