岡山理科大学のチームが開発した、魚の陸上養殖を可能にする「好適環境水」。長年の研究が県の内外で実績を挙げています。その技術が福島県でベニザケの養殖に活かされることになりました。

店頭に並ぶのは、高級魚のベニザケです。

岡山理科大学が福島市のスーパーなどと共同で養殖したもので先週、初めての試験販売が行われました。

「Q.何を選ばれたんですか?」
(東京から買いに来た人)
「切り身とさくを2つ。安全に食べられるというのはすごくいいと思う」

冷たい水を好み、川と海を行き来するベニザケ。その生息環境の特殊さなどから、これまで養殖するのは難しいとされてきました。しかし…

(岡山理科大学 山本俊政准教授)「これがここの研究室でふ化したベニザケの赤ちゃんです」

岡山理科大学が、2016年から取り組んでいたベニザケの陸上養殖を成功させたのです。

養殖成功のカギとなったのは、山本准教授が開発した淡水魚と海水魚が共存できる特殊な水「好適環境水」です。

海の魚に必要な成分を真水に加えたもので、これまでにクロマグロやウナギなど10種類以上の魚の陸上養殖に活用されてきました。

(岡山理科大学 山本俊政准教授)「好適環境水は、新たな利用方法として、冷水系の魚に向いているという判断をした」

実験の成功を受け、漁獲量が減少している東北地方を支えようと福島県で始まったのが、地元のスーパーマーケットや企業と共同で行うベニザケの養殖です。

養殖では、水質データやリアルタイムの生育状態をオンラインで共有、大学の遠隔指導を受けてスーパー側が飼育します。

閉鎖された環境で育てるため、寄生虫などが混入するリスクが少なく安全に食べられることもメリットだといいます。

(テレビユー福島 浦部智弘アナウンサー)「脂がしっかりのっていて、身もしっかり詰まっていて、最高においしいです」

(スーパーマーケットいちい 伊藤信弘社長)「いろいろな工夫をしながら、なんとかお客さまが買いやすい買っていただける値段にしたい」

(岡山理科大学 山本俊政准教授)「福島県の皆さんの微力ですが力になれたら」

岡山理科大学などでは研究や養殖のための施設を拡充し、事業化を目指すとしています。