「早く放牧してよ」 金色に進化するシマウシは“レンタカウ”でも大人気

今年で3年目に入る検証だが、シマウシの手法も進化をしている。牛の体からは脂が出るため、一般的なアクリルスプレーだと1週間程度で落ちてしまう。そのため、2022年には塗装資材の検討が行われた。

山形県置賜総合支庁農業振興課 菅井技師
「シマ模様を持続できるような塗料や方法を色々と試しました。結果、毛を脱色すると約1か月程度持続できることが確認でき、吸血昆虫の忌避効果も確認されています。ただ、脱色すると白より金色に近い色になります」

今年から、牛たちはブリーチ剤でシマ模様になる。それはそれは神々しい、美しく輝くゴールデン・シマウシの誕生だった。

「シマ模様のおかげでメンテナンス回数が減って助かる」と語るのは、今年も検証に参加する遠藤畜産だ。というのも、遠藤畜産では牛を無料で貸し、畑周辺の草地に放牧する、その名もレンタカーならぬ“レンタカウ”という事業を行っているからだ。

遠藤畜産 遠藤寛寿さん
「私のところでは繁殖牛を無料で貸し出して放牧しているんです。草地は放っておくとすぐにぼうぼう木が生えてくる。そうなったら伐採したり手間がかかるけど、レンタカウが雑草を食べてくれるわけ。こちらも、エサ代の節約になるんだ」

さらに想定外の効果もあったようで・・・

遠藤寛寿さん
「ここら辺はクマやサル、イノシシが多くて、近くの作物を荒らしてたんだけど、体の大きい牛がいると近寄りづらいみたいでさ、全然来なくなっちゃった。畑をやっている人たちからは『今年はいつからやるの?早く放牧してよ』って言われるようになっちゃった」

どうやら地元では牛たちは英雄扱いの人気ぶりのようだ。そう聞くと、レンタカウのシマウシは、模様だけでなく、存在自体も輝いて見えてくるではないか。

このレンタカウ事業は既存農地の有効活用にもつながるとして山形県も後押しをしている。もしかすると今後は、まばゆい輝きを放ちながら草を食む“ゴールデン・シマウシ”を沢山見ることが出来るようになるのかもしれない。