福島第一原発の処理水の海洋放出問題をめぐり、中国が日本の水産物に対する「事実上の輸入禁止措置」を打ち出しました。日本料理店は困惑しています。
中国・上海で20年以上続く日本料理店。刺身が自慢で、ランチも日本円で5000円程度と決して安くはありませんが、富裕層を中心に人気を集めています。
客
「サーモンは焼いてしまうと脂っぽくなるけど、刺身だと、とても爽やかな口当たりですね」
ところが、その魚をめぐり“ある異変”が…
上海の日本料理店 総料理長 本多淳一さん
「先週あたりから、全く(日本の)鮮魚が入ってこない状態。事実上(輸入は)無理ですね」
こちらは中国の税関当局が7日、福島第一原発の処理水の海洋放出計画を受けて発表した通知です。日本からの水産物について「100%の検査を行う」として、“検査の厳格化”を打ち出しました。
今回の措置について、中国政府は先ほど…
中国外務省 毛寧 報道官
「私たちは人民の健康や海洋環境に責任を持たなければならない。日本の海洋放出に反対し、措置を取ることは理にかなっている」
関係者によると、放射性物質の検査は鮮魚だと2週間、冷凍したものは1か月ほどかかるといいます。しかし、鮮魚は2週間の間に傷んでしまい、取引が出来ない状態だということで、店に残っていた日本の魚は冷凍のキンキのみでした。
上海の日本料理店 総料理長 本多淳一さん
「先週が最後の便だったので、もう6日前ですね」
元々、鮮魚の8割は日本から輸入していましたが、今の仕入れ先は主に中国。この日、提供したマダイやカンパチも福建省でとれたものです。
上海の日本料理店 総料理長 本多淳一さん
「やっぱり中国・上海、特に寿司屋さんとかも凄いブームなので、(日本の鮮魚が)なくなるっていうのは本当に“飛車角落ち”で将棋を指すみたいなことになってしまいますので」
影響がより深刻なのは、日本の水産業界です。豊洲市場のこちらの仲卸業者は、ウニやマグロを輸出。香港を含む中国向けは、取扱量の半分近くに上ります。
山治 山崎康弘 社長
「高級品は鮮度が命なので、鮮度の良いまま届かないのであれば、我々市場の人間としては、あきらめざるを得ない。事実上送れない、絶対送れない」
検査が強化された今月上旬から、中国への輸出を断念するケースが増えているといいます。
日本の食品の輸出は、アベノミクスの成長戦略の柱の一つ。特に、食品海産物の輸出額は去年、過去最高の3873億円となり、輸出先のトップは中国、次いで香港となっています。
こちらの会社では、輸出業務を担う社員を7人雇っています。
山治 山崎康弘 社長
「(政府の輸出戦略に)沿って売り込んできた経緯があるので、今さら止められても、僕らは商売上止まらない。すごく不安はいっぱいです。国と国との政治的な問題だと思うので、政治的に解決してもらいたい」
中国の検査強化が長引けば、日本の食品の輸出戦略に大きな打撃となります。
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