暑いこの時期、各地で水の事故が相次いでいます。
沖に向かう危険な「離岸流」や、川に流されたとき、あわてず対処するには正しい知識が必要です。自分や家族の命を守るために、準備できることは何があるのでしょうか。
水難学会理事の斎藤秀俊氏に聞きます。

「離岸流」に流されたら

沖に向かう海の流れ、「離岸流」。
1秒間に2m以上流されることもあり、足がつかない沖合へ流されると、溺れる可能性もあります。

≪離岸流に巻き込まれた時の対処法≫
▼呼吸がしやすい仰向けの姿勢で浮かび、しばらく流れに身を任せる
▼流れが弱まってきたら、海岸と平行に移動し、離岸流から逃れる

ポイントは、流されたときに頑張って岸に泳いで帰ろうとしないこと。
流れに逆らう状態では前に進むことができず、パニック状態に陥ることもあるといいます。


ーー海でおぼれている人がいることに気づいたら?
水難学会 斎藤秀俊理事:
まず119番通報を早くしていただきたい。
防災ヘリが水難事故のときすぐに来てくれるんです。大体どこでも30分ぐらいで到着します。

まずは「浮いて待て」 手を上げ声を出すのはNG

離岸流ではなくとも、万が一海に投げ出されてしまったとき、どのようにすればいいのでしょうか。
まずは『浮いて待て』が鉄則です。

▼体の力を抜いて大の字になる
▼息を吸って、あごを少し上げる
▼仰向けになって背浮きをする
▼靴は脱がない(浮力となるため)

やってはいけないこともあります。
▼声を出さない
声を出してしまうと肺から空気が抜け、沈んでしまいます。

▼手を上げない
手を上げて助けを求めたくなりますが、水に浮くのは体の2%ほどです。手を上げると、その2%が手の部分に持っていかれてしまいます。気道が確保できる口の辺りを2%として出すことが重要となります。