川勝平太知事に向けられた静岡県議会50年ぶりの不信任決議案は、今後の県政運営に大きな火種を残しました。わずか1票差で否決されましたが、川勝知事を取り巻く環境は変わりつつあります。
<川勝平太知事>
「すいません、待たせちゃって」
7月14日午前、立て続けに面会が入っていた川勝知事。12日とは一転、穏やかな表情で知事としての公務を務めていました。
<川勝知事>
「本当に自分の考えが正しいのかどうかということを常に反すうして、確信を持っていることを話していけば、ハート・トゥー・ハートで必ずいままで敵対している人も理解してくれる」
自らを戒めているのでしょうか。謙虚さを前面に出す川勝知事ですが、12日から13日にかけては肝が縮むような時間を過ごしました。
12日、県議会では最大会派の自民改革会議が知事に対する不信任決議案を提出。県議会では50年ぶりのことでした。
<静岡県議会 中沢公彦議長>
「賛成50、反対18、川勝知事に対する不信任決議案は否決されました」
採決の結果、たった1票差での否決となりました。内訳をみると、反対したのは川勝知事をサポートしてきたふじのくに県民クラブ所属の議員のみ。なんと、自民党だけでなく、無所属の議員まですべて賛成に回ったのです。
<無所属 山本隆久県議>
「相対的に鑑みてこのままでは川勝県政は持たないし、持たせる必要もないという判断をした」
その無所属議員の1人、山本隆久県議は2年前の辞職勧告決議で「反対」に票を入れましたが、今回の不信任決議案では「賛成」に1票を投じました。
<無所属 山本隆久県議>
「リニアを中心に熱海の土石流についても『あれ?』というつじつまの合わない言い訳というか、他人事のような言い訳が目立っている」
2年前は選挙中の暴言ということもあり反対しましたが、リニア問題などをめぐる最近の知事の発言について看過できない部分が多く、今回は賛成したといいます。
<無所属 山本隆久県議>
「失言やすり合わせ不足のような発言さえしっかり控えていただければ、個々の事業や事案に対して決しておかしなことをやっているなという感じはないので、それはしっかり応援していきたい」
今回、一連の問題で浮き彫りになったのは、川勝知事自身の土台の弱さです。
<静岡大学人文社会科学部 井柳美紀教授>
「無所属議員を全員固めた形で、あと1票まで迫った。川勝県政というものが脆弱な部分を持っていることを意味しているかなと思います」
選挙での圧倒的な強さを背景にこれまで持論を押し進めてきた川勝知事ですが、今後も不信任案や辞職勧告を突き付けられるリスクを抱えていて、追い詰められている状況ともいえそうです。
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