きょうは傷がついていたり形にバラつきがあることなどから、市場に出回ることのない「規格外」といわれる果物の活路についてです。味は引けを取らないものの処分されてしまう「規格外」な果物を、スイーツに変える人たちの取り組みや思いを紹介します。


甘い香りを漂わせる、ケーキやシュークリーム。実はこれ「ある果物」を活用したスイーツなんです!

うんてん洋菓子店 運天智絵さん
「パッションフルーツで、少し色づきが悪かったり、あとは小さかったり、これは傷がついてしまったり、大きすぎてしまったり、そういったものが規格外とされて市場にはなかなか出せないものになっています」

手掛けるのは去年12月にオープンした「うんてん洋菓子店」。代表でパティシエを務める運天智絵さんの「ある思い」から誕生しました。


うんてん洋菓子店 運天智絵さん
「父と祖母がハーブ農家をやっていて、規格と言われているところから漏れてしまったもの。葉っぱが少し大きくなったりお花が咲きすぎてしまったりというものは、受け取ってもらえなかったんですね。美味しく食べられるのに捨ててしまうしかない現状で、それをずっと私も側で見ていて規格外のものを生かしたお菓子を作ろうと」

果物は季節によって旬が異なるため、店頭に並ぶスイーツも時期に合わせて変わります。これまでタンカンやイチゴなどの規格外品をはじめ、新型コロナウイルスの影響で消費が大幅に減少している紅芋や黒糖を使ったスイーツも展開しています。

「こんにちは~よろしくお願いします」



この日訪れたのは恩納村のてるてるファーム。今が旬のパッションフルーツを仕入れにやって来ました。果物は、大きさ・重さ・見た目で3ランクに選別し、出荷されます。

「この子は(大きさは)Mサイズなんですね。Mの重さがあるかどうかを確認して満たしていたらMサイズ。もし軽かければSに入れるのかといったらSではなく、規格外品になります」

味は引けを取らないものの、規格にわずかでも満たないことや傷があることで「規格外」として弾かれてしまいます。



てるてるファーム 照屋和江さん
「すべて規格外まで合わせると(年間収穫量は)約1トン。(収穫量の)3割とかは規格外になるんじゃないかな、上出来だと思いますそれでも」

こうした中「規格外品」の新たな活路を生み出す取り組みは農家にとっても良い兆しになると話します。

てるてるファーム 照屋和江さん
「楽しく作って継続していくためにはやはり、規格外品をちゃんと活用できるようにしていくと助かります。うんてん洋菓子店みたいに美味しいお菓子を作ってくれると本当に嬉しい」

うんてん洋菓子店 運天さん
「自然の酸味がすごくたっぷりなので、とてもどんなお菓子にしようかと考えるのがすごくワクワクします」


仕入れ後は大忙しです!発売までの限られた時間の中で旬の果物を使ったスイーツに仕上げていきます。

試食会のやりとり
「(2層を)一緒に食べたほうが良いですね」
「一緒に食べた方かよい?下(の層)の味もします?」
「パッションが酸っぱい分、下のミルクゼリーをちょっと甘めにしてバランス」

作り手をはじめ、生産者の思いがこもったスイーツの数々。見た目や味はもちろん環境を配慮した取り組みに賛同し足を運ぶ人も増えました。


来店客
「(店の)コンセプトを聞いて「いいな」というのがあったので来ています」
「廃棄されるものが、こういう美味しいものに使われているというのはとても素晴らしいなと思います」

捨てられるはずの果物を食材として活用し、新たな商品を生み出す。こうした取り組みは「つくる責任・使う責任」というSDGsの目標につながっています。

うんてん洋菓子店が目指す、持続可能な未来とは?


うんてん洋菓子店 運天智江さん
「規格外だからといって決して中が食べられないというわけではなくて、むしろすごく美味しかったり、あとは農家さんがどれも区別せず大切に育てたものと言うことをより知っていただけたらなと思います。スイーツをきっかけに周りのみんな、関わるみなさんが嬉しくなってほしいというのが一番の思いです。」

うれしいがめぐるお菓子作りを。消費者や生産者とすべての人を思いやる取り組みが、笑顔の輪を広げています。


【記者MEMO】
うんてん洋菓子店は、クッキーの売り上げの一部を動物愛護団体に寄付するなどスイーツを通して地元に貢献する取り組みをさまざま行っています。ことし4月には宜野湾市に2店舗目をオープンしたそうで、今後のさらなる発展に期待したいと思います。