瀬戸内国際芸術祭の秋会期の会場になっている三豊市の粟島に、アーティストが生活しながら作品の制作を行う「芸術家村」があります。「島の人と共に作品を作ろう」と、2人の若手芸術家が粟島にやってきました。

粟島(香川県三豊市)

粟島に、3年ぶりににぎやかな声が響きます。島のお年寄りと話をするのは佐藤悠さん。様々な形でのコミュニケーションから作品を作り上げるアーティストです。

アーティスト・佐藤悠さん(左)
佐藤さんの作品「ゴロゴロ莇平(あざみひら)」
「一緒に楽しめる」作品になる


(アーティスト佐藤悠さん)
「一緒に楽しめる作品になるのかなというのは、皆さん同士が話をしているところを聞かせていただいたりして、なんとなく見えてくるのかなという感じがします」

「粟島芸術家村」は、廃校となった粟島中学校に作られた


廃校となった中学校を利用して、2010年に作られた粟島芸術家村です。東京藝術大学学長の日比野克彦さんが総合ディレクターを務めるこの施設に、佐藤悠さんと森ナナさん2人の芸術家が加わりました。

2人の芸術家が「芸術家村」に加わった


(書家 森ナナさん)
「『なにかを産む』ということの根源的なことに、皆さんと向き合って何かを制作できたらなと」

森さんの作品

2人は瀬戸内国際芸術祭の秋会期に向け、4か月ほど島で生活しながら作品作りに取り組みます。書家の森ナナさんは地元福岡で作品作りを続けていましたが、島での経験が作品にどんな影響を与えるのか、楽しみだといいます。


(書家 森ナナさん)
「書自体がすごく自分に向き合うものだと思うので、そこがどう人々と関わっていくのかというのは、私の中では新しい発見になるのかなと思っています」

新型コロナの影響で島に若手芸術家が訪れるのは3年ぶり。高齢化が進む島のお年寄りも、胸を躍らせています。

島の人たちとの交流


(島の住民)
「ブイみたいにウキウキしてくる、みんなウキウキしてくる。だから島が浮き上がる」
「粟島の人と関わって人間的に成長してくれたらそれでいい。作品は…良し悪しはわからんわな」

(粟島芸術村 総合ディレクター 日比野 克彦さん(東京藝術大学学長))

「共創する=共に創り出してく、共生していく=共に生きていく、ということの実践そして実感できる場というのは、貴重な体験だと思います」

2人は4か月ほど粟島で生活し、作品を作る


若手芸術家と島の人々との交わりがどんな変化をもたらすのか。粟島で新たな芸術が生まれようとしています。