ロシアが占拠しているウクライナ南部のザポリージャ原発。テロ攻撃の可能性が指摘されるなど国際的な関心が集まっています。原発のすぐ対岸に位置する町を取材しました。
ウクライナ南部の町、ニコポリ。いま、かつてない緊張感に包まれています。
記者
「この場所から対岸を見ますと、ロシアが占領しているウクライナのザポリージャ原発が確認できます」
ドニプロ川の貯水池を挟んでおよそ10キロのところにあるニコポリからは6つの原子炉建屋がはっきりと見えます。
ロシア軍は去年3月からザポリージャ原発を占領。以来、周辺では激しい砲撃が繰り返され、稼働中の原発施設が攻撃を受けるという史上初めての危機に直面しています。
さらに…
ウクライナ ゼレンスキー大統領
「ロシアは原発で局所的な爆発を引き起こす技術的な準備ができている」
ウクライナ国防省もロシア側の関係者が原発から退避を始めたとしていて、緊張が一段と高まっています。
ニコポリ市民
「誰だって怖いはずです。特に子どもたちが心配です」
先月29日には緊急の対応訓練を実施して、住民の退避や除染について確認しました。
ニコポリ市の担当者
「爆発があった場合に備え、最大限、避難するための準備をしないといけない」
ただ、住民の苦難は「原発事故のリスク」だけではありません。
記者
「ニコポリはロシア軍から非常に激しい攻撃を連日受けていますので、このように学校の窓はほぼ全て割れています」
ロシア軍の砲撃が連日続き、町では4000以上の建物が損壊しました。
さらには「水」の問題も。先月、ヘルソン州のダムが決壊した影響で、水道水の供給が完全に止まってしまったのです。
市の中心部に設置された給水所では、訪れた人々が茶色がかった水をボトルに入れて持ち帰っていました。
72歳のアイヴァンさん。持病の影響で歩行も困難ですが、自宅まで20分の道のりを何度も何度も立ち止まりながら往復します。
今感じる不安について聞くと…
アイヴァンさん
「不安って?それで何かが変えられるのでしょうか?ただ心を落ち着けるしかないのです」
原発事故のリスク、砲撃の恐怖、そして「水」さえも失うという三重苦。ニコポリでは、ぎりぎりの生活が続いています。
注目の記事
「やっと技術が認められた」従業員約70人の町工場が開発 量産可能な最高水準の緩み止め性能のボルト 【苦節21年の道のり 開発編】

“ポンコツ一家”で過ごした5年間 認知症の母と一発屋芸人 にしおかすみこさんが語る「ダメと言わない」介護【前編】

「下請け」は"NGワード" 法改正で消える暗黙の上下関係 フリーランスも保護【2026年から変わること】

パンや味噌汁でもアルコールを検知してしまう?飲酒してなくても摘発されてしまうのか 警察に聞いてみた

【実録・詐欺犯VS警察官】 詐欺電話を受けたのは“本物の警察官”「信号検査・逮捕令状・強制捜査」次々に出る専門用語…人々が騙される巧妙な手口を公開

3年で20本が切断…台湾「海底ケーブル」が直面する脅威と中国の影 最前線・沿岸警備隊パトロールに日本メディア初密着【後編】









