「あんな地獄はもう誰にも経験してほしくない」 

▼西岡統一さん「最終的に、全員発見されたことになっているけど、『これは、お母さんが着ていた合羽』とかというので、身元が分かった人がたくさんいる。だから、みんな家で使っていた歯ブラシとか湯飲みを持ってきた。DNAを調べるために…」

 60人もの尊い命が失われた、繁藤災害。発生直後から2022年まで、遺族会の会長を務めてきた西岡さんは、あの時のことを、こう振り返りました。

西岡統一さん

▼西岡統一さん「(発生直後は)毎日毎日ここへきて、(救助活動をしている)消防隊員たちが、私たちの言うことをきいて、機械を入れずに手掘りで、遺体をさがしてくれた。あんな地獄は、誰にも味わってほしくない」

当時の記録にも残る “線状”・“局地的集中豪雨”の記述 

前兆現象はありながらも、「まさかここまで」というのが、西岡さんを始め、あの災害を経験した人たちの気持ちだといいます。

 その想定外を引き起こした雨について、記録をまとめた冊子には、「局地的な集中豪雨」「線状」「同じ場所に停滞」などという、今の豪雨にも通じる言葉が使われていました。

 繁藤災害に関わらず、過去に起きた様々な自然災害の犠牲の上には、後世に暮らす私たちが知るべき「教訓」が残されているはずです。

 川下で流された人も含む、この時の豪雨災害の犠牲者61人の慰霊祭は、5日、現地で行われます。【取材・気象予報士 東杜和】