熊野高校 岡田和之介 監督
「村山元規が学年で1人ということなので、ぐちを言ったり、不満を言ったり、そういう相手がいないのじゃないかなって、ぼく自身感じて、元規と2人の時間を作りたいという思いで朝練習を始めました」

毎日、続けた2人だけの朝練習―。部員が9人そろわず、十分な練習もできない状況でしたが、キャプテンと監督は野球への思いをつなぎました。

そして、もう1つ、2人をつないでいるのが、村山がつけているグラブ。岡田監督が高校時代に使っていたものを譲り受けました。

村山は、下を向きたくなったとき、そのグラブを見て、自分を鼓舞します。

熊野高校 3年 村山元規 主将
「この文字を見ると、もらった当初のことを思い出して、『もっとがんばろう。まだ底辺だから、もっともっと上を目指そう』という気持ちになります」

岡田監督は、村山の最後の大会はなんとしても熊野高校単独で出場させたいと、熊野高校への勧誘で近隣のクラブチームに足繁く通いました。

その努力が実を結び、4月には1年生13人が入部しました。

岡田和之介 監督
「直接、話をしに行かせてもらって今の現状、当時、2年生だった村山が1人でがんばっているということと、やるからには甲子園目指して本気で野球がやりたいって、自分自身の熱い思いも伝えて勧誘しました」

村上元規 主将                             「めちゃくちゃうれしくて単独で出られるっていうのもうれかったし、一緒にやる仲間が増えたっていうのもとてもうれしかった」

キャプテンと監督が願い続けた熊野高校単独チームでの県大会出場―。勝って熊野高校の校歌をとどろかせるため、全員野球で挑みます。

熊野高校 岡田和之介 監督
「ずっと一緒にやって来た2年生も1年生もみんなが口をそろえて『元規のために』『ゲンさんのために』というふうにやっているので、全員が最後の夏というような強い気持ちを持って夏を迎えたら、たとえ負けても悔いの残らない夏になるのではないかと思います」

熊野高校 3年 村上元規 主将
「思い出作りに行くのではないので、勝ちを取りに行くのであって、全力で大きい声を出して、一球一球に命かけてプレーしていこうと思います」