東部で反転攻勢を進めるウクライナ。一方、南部ではダム決壊から3週間が経ちましたが、市民の生活再建は進みません。JNNのカメラは大きな被害を受けたヘルソン市に入りました。
南部ヘルソン市。侵攻直後はロシア軍に支配されましたが、去年11月、ウクライナが撃退しました。しかし。
記者
「また、砲弾の大きな音がしました。見づらいかもしれませんが、川がありまして、その川を隔ててウクライナ軍そしてロシア軍がにらみ合っているという状況です」
ヘルソン市から前線までは7キロほど。ここに暮らす人々は、今も恐怖に怯えながらの生活を余儀なくされていますが、この街を襲ったのはそれだけではありません。
記者
「この辺りはまだ、水が浸水した状態が続いていて、臭いが強烈に漂っていますね。私の身長より、まだまだ高い葉っぱにも泥がついている」
今月6日、ここから北東におよそ60キロのロシア軍が占拠するカホフカ水力発電所のダムが決壊。全容は分かっていませんが、ロシアが関与したとの見方が強まっています。
ダム決壊で下流の地域を中心に広い範囲が水没し、多くの住宅などが被害を受けました。ウクライナ側が支配する地域だけでも死者は15人を超え、今も30人以上の行方が分からないまま。決壊から3週間が経っても、傷跡は色濃く残っていました。
庭に溜まった水を外にかき出す、リュドミラさん。夫と2人、この家に住んで20年ほどになります。
浸水被害にあったリュドミラさん
「6日の朝でしたね。隣人に起こされました。『寝ている場合じゃない。ダムが爆破された』って。もう水が迫っていました」
リュドミラさんの自宅から川までは2キロほど離れていますが、みるみるうちに水が押し寄せてきたといいます。
リュドミラさん
「もう、1週間ほど水を掻き出しています。ようやく少しずつ水も引き始めて、扉を開けられるようになりました」
家の中を見せてもらうと、至る所に泥がたまり、生活用品などが散乱。ほぼすべてが水にのまれ、生活の基盤を完全に失いました。
リュドミラさん
「みんな着の身、着のまま無一文です。稼いで稼いでここまで来て、それなのにいまは無一文ですよ。ただ悔しいですよ。この歳になって家を失うなんて」
攻撃の恐怖がやまない中、濁流に日常も奪われたリュドミラさん。
「平和になってほしい。戦争はなくなってほしい。こんなことは全部終わってほしい」
先が見通せない中、一日も早い平和を祈り続けています。
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