国内にある人工林の約半分が放置状態 大規模災害リスクも…

皆伐などの手入れ作業を行わず、人工林を放置すると、土地が痩せて山の保水力が下がります。弊害は、木が十分に成長できないだけにとどまりません。

(桑原佐季さん)
「このように(根が)しっかり張れていない状態で砂も流れ落ちて、土砂災害につながるような状態になっています」

高度経済成長期、国内では一気にヒノキやスギの植林が進みました。しかし、その後安い外国産木材へ需要が集まり、国内林業は衰退。林業従事者の数は減る一方です。2020年度の林業従事者は4万4千人と、この40年で3分の1にまで減少。今や、国内の人工林全体の5割程度が手付かずで放置されているといいます。

気候変動で台風や線状降水帯などの豪雨が増える中、近年は大規模な土砂崩れが発生。大量の倒木が河川に流れ出し、下流の住宅地を襲う災害も増えています。

岐阜大学の生産環境科学課程を卒業した桑原さん。在学中、森林環境や生態系を学ぶ中で国内林業の衰退・山の荒廃を何とかしたいという思いが芽生えました。

(桑原佐季さん)
「岐阜大学(在学中)に、チェーンソーの資格を受講できる授業があったので、(資格を)取った時に林業に興味を持った感じです。山が壊れていくと、災害が発生しやすくなったり、災害の規模が大きくなると思うので、(災害が起きにくい)山の状態を作る事が大切だと思います」

ドローンなど最新技術の駆使で林業女子も働きやすい環境に

伐採が終わると、桑原さんはラジコン送信機で輸送ケーブルを操作し、伐採した木を運びます。林業資材をドローンで運ぶなど、様々な技術の導入が進み、桑原さんのような林業女子も働きやすい仕事になってきました。

切り倒した木の枝打ちと切り分けも、重機を巧みに扱いながら次々とこなしていきます。入社してまだ2年ほどの桑原さんですが、こうした重機やドローンの資格も取得し、会社にとっては欠かせない戦力です。安藤林業の安藤雅人社長も、機械の操作などで繊細な仕事をする桑原さんに、助けられているといいます。

(桑原佐季さん)
「(山が)手入れされていないと木もしっかり育たないので、もっと頑張ろうと思います」

荒れ果てた日本の山林を蘇らせたいという思いを胸に、桑原さんは今日も山に入ります。

CBCテレビ「チャント!」6月19日放送より