名古屋刑務所の刑務官22人が、受刑者3人に暴行など不適切な行為をしていた問題で、法務省の第三者委員会は先ほど、受刑者の処遇体制の見直しなどを提言する再発防止策を取りまとめ、斎藤法務大臣に手渡しました。

名古屋刑務所では去年、刑務官22人が受刑者3人に対し、暴行などを繰り返していたことが発覚し、関わった刑務官13人が特別公務員暴行陵虐などで書類送検されたほか、上司も含め33人が懲戒処分を受けています。

この問題を調査していた、外部の有識者からなる法務省の第三者委員会は先ほど、再発防止策の提言書を取りまとめ、斎藤法務大臣に手渡しました。

提言書では問題が起きた原因として、「人権意識の希薄さ」や「規律秩序を過度に重視する組織風土」などがあったと指摘し、主な再発防止策として、受刑者の処遇体制の見直しを挙げています。

これまで受刑者が入る刑務所は、罪を犯した回数などに応じて決められていて、薬物乱用者や暴力団関係者、高齢者など受刑者の特性は考慮されていませんでした。

そのため特性が違う受刑者が同じ刑務所に入り、専門性のない刑務官が担当することで、トラブルが積み重なり、今回の問題の原因の1つになったと考えられるということです。

提言書では、似たような特性をもつ受刑者を同じ刑務所に入れることで、刑務官が専門的な知識を持って対応できるよう提言しています。また、若い刑務官が1人でトラブルにならないよう、刑務官の体に装着して行動を常時撮影できる「ウェアラブルカメラ」を活用し、遠隔地から経験を積んだ上司が、映像を見ながらアドバイスできる体制も整えます。

一方、調査では名古屋刑務所の職員が雑談中に、受刑者を「懲役」、「やつら」などと呼んでいたことも明らかになりました。

提言書ではこうした呼び方は、職員が人権意識を持つうえで不適切として、「さん付け」で呼ぶなど見直しを検討するよう求めています。

法務省はこうした再発防止策を名古屋刑務所に限らず、全国の刑事施設で適用していくとしています。