理研(理化学研究所)などの研究グループは、脳動脈瘤ができた際に特定の遺伝子の突然変異が起きていることを突き止め、手術ではなく、薬による治療の可能性を見いだしたと発表しました。
理研のチームリーダーで杏林大学医学部の中冨浩文教授らのグループは、外科手術で摘出された脳動脈瘤の遺伝子を解析し、405個の後天的にできたとみられる遺伝子変異があることを確認しました。
このうち16個の遺伝子が特に高頻度で変異がみられ、その多くが腫瘍形成に関わる遺伝子として知られるものだったということです。
特に治療が困難な大きな動脈瘤では、PDGFRβ(ベータ)という遺伝子の変異が起きていました。
この遺伝子変異を導入したマウスに、がん治療薬の一つであるスニチニブを投与したところ、動脈瘤の発生・成長が抑制されたということです。
脳動脈瘤の治療は、現状では開頭手術か血管内カテーテル治療しかありませんが、研究グループでは今後、スニチニブと似た作用を持つさまざまな薬を試すことなどにより、投薬による脳動脈瘤の治療が可能になるとみて、10年後をめどに実用化につなげたいとしています。
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