体操・世界選手権及びアジア大会の代表選考を兼ねた全日本種目別選手権の決勝が11日に開催。女子・ゆかで、オリンピック2大会連続出場(16リオ・21東京)の杉原愛子(23、武庫川女子大学)が13.400点をマークして優勝。2年ぶり2度目となる「ゆか日本一」のタイトルを手にした。

昨年6月に競技の第一線から退くことを発表した杉原愛子は、リポーターとして今年4月の全日本選手権、5月のNHK杯に携わる中で、競技への想いが再熱。「楽しそうやな、また出たいな」という気持ちが強くなった中で、母親に「出てほしい」と言われて出場することを決めた。

映像審査を通過して出場資格を得た今大会。予選(10日)を12.966点の3位で終え、メダルを狙える位置で挑んだ決勝の演技では、有名なスパイ映画のテーマ曲とNissy(西島隆弘)の曲を合わせた「007&Na」が流れると音楽に乗りながら持ち前の表現力で審判と観客を魅了する。

手拍子をする振付の所では、観客席のお客さんも一緒になって手拍子をおこない、会場は盛り上がった。最後の後方屈身2回宙返りの着地も丁寧にまとめ、演技の出来栄えを示すEスコアも決勝進出8名の中で唯一の8点台となる8.2点をマーク。オリンピアンの貫禄を見せる美しい演技を披露した。

「今日は全然緊張してへんくて、めっちゃ楽しかった。こだわってきた“ライブの様なエンターテインメントな作品”ができた。また、ファンの皆さんから手拍子をもらってホンマに感謝の気持ちしかない。会場が一体感になる感じも気持ち良かったし、最後絶対決めなっ!って思いました(笑)」と、地元大阪弁で決勝の演技を振り返った。

優勝した杉原選手


現在、競技者として練習を続けながら、SNSやエキシビションでの体操普及活動を行うほか、武庫川女子大学の強化コーチとして、付属の高校生や中学生への体操指導にも励んでいる杉原愛子。幅広くマルチに活躍する23歳は、体操に対する思いも、人一倍大きかった。「私には“体操をメジャースポーツにしたい”という目標がある。野球やサッカーみたいに、体操もそこに入っていけるようにしたい。自分から発信して、体操の魅力や楽しさを伝えていきたい。それから、“コーチと競技者の二刀流”の現実化をさせたいという思いもある。今回の演技(種目別選手権・ゆか)ではそれをアピールできた。二刀流の現実化に近づいたんじゃないかなと思います」。

杉原愛子は、今年9月開催の全日本シニア選手権にも出場予定。「次は4種目、個人総合でまた戻れるようにやっていきたい」と意気込んだ。

▼全日本体操種目別選手権 (ゆか・決勝)
 優勝 杉原愛子 13.400
 2位 畠田千愛 13.200
 3位 坂口彩夏 13.166

▼世界選手権 女子代表内定者
 宮田笙子 (18、順天堂大学)
 岸里奈  (15、戸田市スポーツセンター)
 渡部葉月 (18、筑波大学)
 深沢こころ(21、筑波大学)
 芦川うらら(20、日本体育大学)