指を口にあてて沈黙を示すポーズをとるウクライナ兵士の映像。「今か今か」とされるウクライナの反転攻勢の時期は公言しないとのメッセージですが、「ウクライナ軍の反転攻勢はすでに始まっている」と話すのは大和大学の佐々木正明教授。

 アメリカの衛星にはウクライナ側からの多数の砲撃をとらえているとのこと。また南部のダムが破壊され、原発を冷却するための取水への影響が懸念されるといいます。佐々木教授は「ウ軍の反転攻勢を遅らせるためロシアが中から爆破した」とみています。

ダム破壊はウクライナの反転攻勢を遅らせる狙い、そして最悪の「原発リスク」

ーーヘルソン州のカホフカ水力発電所のダムが破壊されました。ゼレンスキー大統領が公開した映像でも指摘しています。一方、地元の親ロシア当局は「ダムは砲撃を受けた」と発表していて、それぞれ言っていることが食い違っている状況。カホフカダムの破壊、どういう意図が?

「最新情報の現地メディアによりますと、ダムは内部から破壊された。ミサイルではないということが報じられています。そして既に下流域ではかなりの水没地域が増えていて、動物園が水没して動物がなくなったという情報が今入ってきました。今後、水没していく地域が増える。そしてどうやらウクライナ側の地域の方が低いそうで、水没していく可能性がある。下流域の町がどんどん水害で埋もれてしまうという可能性があります」

ーー水力発電所を狙う意図は?

「国際的な問題になる可能性があるというのは、ザポリージャ原発で冷却水が取水できなくなるおそれがある。ダムと原発は遠いのですが、同じ川です。取水できるのか。冷却水が原発の方に届かなくなる。届かないと原発を冷やせない。二つ目は、ウクライナ側の反転攻勢を遅らせる狙いがある。反転攻勢が間近で、あるいは始まったという中で、ダムの破壊が起きた。そうしますとヘルソン州の一帯が水没する可能性がある。そこで作戦ができなくなる。それが最も大きな狙いではないかと」

ーー原発のリスク、そして水没のリスクということでかなり大きな影響があると?

「戦争が終わった後もウクライナの農業用水への大きな被害ということになります」

ーーウクライナによるこの反転攻勢については「もう既に始まっているのではないか」という話です。佐々木教授に三つのポイントで解説をしてもらいます。①南部東部の前線1500キロの中でじわじわと作戦実行映しているのではないかと。

「ウクライナ側メディアは、反転攻勢が始まったということは今報じられない状況。これ法律でもありますし、ゼレンスキー政権がこのメディアを抑えている。となるとロシアの方から入ってくる情報か、アメリカの情報がメインとなりますが、アメリカのニューヨークタイムスによりますと、根拠は衛星の情報です。ウクライナの陣地から砲撃が増えているということから、どうやら反転攻勢が始まったという状況。反転攻勢というより領土奪還の作戦がもう既に本格化しているということを言った方がいい」

ーーポイント②は沈黙こそ軍事行動本格化の表れということで、ウ軍の兵士が静かにするようにというジェスチャーをしている。今の状況は?

「ウクライナがもしこの反転攻勢で失敗しますと占領地域はロシア側に渡ってしまう。そこを基盤にしてあと何年ぐらい後に攻めてくるかもしれない。だから奪還しなくてはいけない。そうした上でウクライナが有利な形で停戦を結びたいというのがウクライナ側の狙い。今回の反転攻勢は非常に重要である。これはヨーロッパの安全保障、我々日本にも影響があると思う。この反転攻勢の状況は注目しなければいけない。それとダムの破壊は見なければいけない。沈黙のポーズについては、ソ連時代のプロパガンダの映像として有名なものなのです。これは外に漏らしちゃいけませんよというようなプロパガンダのデザインがあって、それを真似ているんですよ。ですからロシアにいる人、ウクライナにいる人にもよくわかる。もう100年ぐらい続いているような静かにしてくださいというデザインです」

ーーそしてポイント③は、要衝バフムトでの戦闘です。激戦がずっと続いている町なんですが、ゼレンスキー大統領は「よくやった」と話していました。これはどういうことですか?

「バフムトだけがここ3、4か月、注目されていましたが、ゼレンスキー大統領は、ダムが破壊される前の映像で、このことを口にしています。思い返すと去年9月のハルキウ州奪還の時は西部のヘルソン州の方をずっと報じられた。その後陽動作戦として、東部のハリキウ州を奪還した。つまりバフムトでの戦闘というのは陽動、もしくは情報戦の中での一つの作戦ではないかというふうに思います」