ロシアで最も有名な宗教画=イコンが、プーチン大統領の決定に基づき、美術館から政権の支持基盤であるロシア正教会の大聖堂に移されました。

首都モスクワにあるロシア正教会の総本山「救世主キリスト大聖堂」で4日に公開されたのは、伝説的イコン画家アンドレイ・ルブリョフが15世紀に描いたとされる「聖三位一体」です。

これまでトレチャコフ美術館が所蔵していましたが、プーチン大統領が先月、およそ1世紀ぶりにロシア正教会に引き渡すと決定していました。

正教会は政権の支持基盤の一つで、キリル総主教はウクライナ侵攻を支持するような発言を繰り返してきました。

侵攻が長期化する中、政権としては宗教を通じて国民の団結を呼びかけたい狙いがあるとみられます。

今回の移送をめぐっては、イコンの保存状態が悪化すると批判する声が少なくありませんが、正教会の中で移送に反対していた司祭が更迭され、緊急入院したと報じられています。心臓疾患とされていますが、詳細は明らかになっていません。