◆広がるベチバーの用途

かやぶき屋根の修復に使えるんじゃないか。地域でハーブを作ってみたり、お茶として提供してみたい。レストランとかで提供できないか。消臭剤として活用できないか――。いろいろな商品が今開発中です。太い茎を「すだれ」にしてみたり、和紙作りにも乗り出したりしています。

渡邉:矢部川の下流に、手すき和紙の会社が昔いっぱいあったんです。
神戸:すいてみたら和紙になるのでは、と思ったんですか?
渡邉:もうなったんです、この前。1週間前にやっとできました。和紙屋さんに行って、「できますか」と聞いて。上の方の葉っぱをどろどろに溶いて、下の茎は溶けないので叩いて砕いて、すき込んでもらって。

(「野の風」スタッフの山口美保さんが和紙を持ってくる)
神戸:繊維が、見えますね。
カナ:しっかりしていますね。
神戸:まだ、先週できたばっかりなんですか?
山口:店の2階の珪藻土も、ベチバーの原液を入れて練って。全然においが違います。
神戸:すごいなー!
山口:もう「ベチバー御殿」にしようと。

◆香りに満ちた「奥八女」ドライブ

排ガスが届かない場所で作ったベチバーを食品関係に使う、という話でした。子供の遊び場を作ったり、屋根材を造ったり、「ベチバー御殿」にしてみたり、いろいろなことワクワクしながらやっている主婦グループの方々でした。
こうやって、被災した地域が何かをきっかけにして元気になっていったらいいな、と。商売になるかよりも、それを使うことによっていろいろな地域の人たちがからみ合って、新しい商品が生まれたりする。それ自体が地域の力になっていくという意味では、すごく復興に役立つなと思いました。

このほか、ドライブでは、家具の「星野民藝」さんに新しい展示場ができていて、飛び込みで行ったんですけど、専務さんに丁寧に案内していただきました。サクラ材がすごくいい香りだったです。有名な「星野製茶園」にも行ってみたら、きれいなお店に商品がいっぱいあって、深煎りの八女茶を買ってみました。奥八女で、香りに包まれた休日でした。

たまたま「友達の家に行こう」と遊びに連れてかれただけなんですけど、「居酒屋の常連、すごいな」と思いました。


◎神戸金史(かんべ・かねぶみ)
1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。東京報道部時代に「やまゆり園」障害者殺傷事件を取材してラジオドキュメンタリー『SCRATCH 差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』を制作した。