アメリカ南部アーカンソー州で初めて酒蔵が誕生。地方経済再生の起爆剤としても期待されるアメリカ産の「SAKE」を取材しました。
アメリカ・アーカンソー州ホットスプリングス市。人口3万8000人ほどの緑豊かな街です。先週、ここに誕生したのは州内初の酒蔵。地元出身の副社長ベン・ベルさんは。
ベン・ベルさん
「15年前からの夢が叶いました」
地元のワインショップで働いていた際、たまたま口にした日本酒の味に心を奪われたというベルさん。
岩手県花巻市の日本酒「南部美人」の蔵で2年間修行した経験を生かし、念願の酒蔵を立ち上げました。
記者
「乾杯。甘くてまろやかで、後からふわーっと香りが高い」
誕生したのは「Origami Sake」。
酒造りには水とコメが最も重要ですが、蔵では地元の誇る天然資源を活用しています。
「Origami Sake」副社長 ベン・ベルさん
「敷地内の井戸から汲み上げた水なので、素晴らしい水質です」
街を歩いてみると…
記者
「水が湧き出ていますね…熱っ!お湯!」
その名が示すようにホットスプリングス市は温泉観光地。
「Origami Sake」はミネラル豊富な温泉に恵まれた地域から湧き出る地下水を100パーセント使っています。さらに…
「Origami Sake」副社長 ベン・ベルさん
「使用する米はすべてここ、アーカンソーで作られています。これは山田錦。有名な酒米です」
実はアーカンソー州、全米で50%を超える最大のコメの産地です。
64年間、一家でコメ作りを続けるイズベルさん。
コメ農家 イズベルさん
「ここが初めて山田錦を植えた田んぼです」
イズベルさんは1990年代、日本以外で不可能とも言われたコシヒカリをアメリカで初めて生産。今では酒米の王様とも言われる山田錦をはじめ、数種類の酒米をアメリカで手がける唯一のコメ農家です。
コメ農家 イズベルさん
「この3年で(山田錦の)生産量は倍になりました」
地元初の酒造りへの挑戦については。
コメ農家 イズベルさん
「コシヒカリによって、ここアメリカに寿司ブームが起きたように日本酒も同じ方向に進んでいくと思います」
去年、日本からアメリカへの日本酒の輸出額は109億円となり、10年前の3倍まで増加しました。
酒蔵の副社長・ベルさんは観光客や地元の飲食関係者に酒の魅力を体感してもらうため、蔵にテイスティングルームを設置。アーカンソーを世界的な産地にしたいと情熱を燃やしています。
「Origami Sake」副社長 ベン・ベルさん
「私たちは全米での販売を計画しています。アーカンソーやコメに関連する産業にとって、私たちの蔵が代表的存在でありたいと思っています」
観光業の復活や雇用の創出など、地方経済再生の起爆剤としても期待されているアーカンソー生まれの「Origami Sake」。
早ければ夏にも一般販売を開始する予定ですが、アメリカのコメどころから全米に「日本酒ブーム」を広げることはできるでしょうか。
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