わたしたちが生活で出すゴミを清掃工場で燃やす時に、余熱のエネルギーが生まれます。静岡県内では、この余熱を有効活用する取り組みが進んでいます。浜松市では、余熱を使って、あの高級食材を生産する県内初の計画が始まっています。
浜松市天竜区のレストランです。
「キャビアの親子茶漬けです」
世界三大珍味のキャビアとチョウザメの刺身を味わえる贅沢な逸品。
<坪内明美記者>
「チョウザメの濃厚な旨みが口の中に広がってとっても美味しいです」
浜松市天竜区春野町で生産している「ハルキャビア」です。
<金子コード 食品事業部 中村秀憲事業部長>
「こちらが養殖施設です。南アルプスのピュアな水なので、美味しいチョウザメ、キャビアができるということで建設した」
電線や医療用カテーテルの製造など行なう金子コードは、2014年からチョウザメの養殖とキャビアの生産を行なっています。南アルプスの美しい水を使い約2万5000匹の養殖をしています。
<金子コード食品 事業部 中村秀憲事業部長>
「まだお客様の需要に追い付かない状態。非常に多くのオーダーをいただけているので、生産量を増やしていく予定です」
現在、キャビアの生産量は年間300kgほどです。さらに生産量を伸ばすため新たな養殖場所に選んだのは。
<金子コード食品 事業部 中村秀憲事業部長>
「これが浜松市が建設している新しい清掃工場です」
浜松市天竜区で2024年4月に稼働予定の新たな清掃工場「天竜エコテラス」です。工場の敷地内にある建て替え用の土地1.6haを市から借りてチョウザメの養殖施設などをつくる県内初の計画が進んでいます。
<金子コード食品 事業部 中村秀憲事業部長>
Q.余熱をどう養殖場で生かせる?
「チョウザメは水温が上がれば活動が活発になるので、短い時間でチョウザメが飼育、成長できる」
国によりますと、ゴミの焼却で発生する余熱を利用する清掃工場は国内全体の7割ほどです。静岡市の西ヶ谷清掃工場では、余熱を使って隣の温泉施設のお湯を温めています。
<西ヶ谷清掃工場 施設管理係 庄司一等主任技師>
「こららの機械が、『しずもーる』の温泉を温めるための温水をつくる装置です。80℃に温めて『しずもーる』に送っています」
この日は、端午の節句に合わせ、菖蒲の葉を浮かべた菖蒲湯を地域の人が楽しみました。
<小学生の男の子>
「足が温まって気持ちいい」
多くのメリットがある余熱利用ですが、これまでは電力の発電や温水の供給など公共性の高いものに限られていました。そんな中、浜松市は民間企業と連携して新たな活用方法に乗り出したのです。
<浜松市廃棄物処理課 内田敏道新清掃整備グループ長>
「今までにないものをということで、地域がより活性化できるように、焼却で生じる余熱のエネルギーを最大限利活用したい」
清掃工場の余熱を使ったチョウザメの養殖は、これまでの活用法から一歩踏み込んだSDGsの試みです。
<金子コード食品 事業部 中村秀憲事業部長>
「地球環境を守るだけをやろうとしても継続がなかなか難しい。経済活動としてのビジネスを回しながら、いかにSDGsにつなげて両輪をうまく回していけるか」
ゴミの焼却の余熱で地域に新しい価値が生まれようとしています。
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