19世紀末のヨーロッパで一世を風靡した画家、アルフォンス・ミュシャの展覧会が福岡市美術館で開かれています。ミュシャの作品の中でも最も美しいといわれる「一日」を紹介します。
◆女性として描かれた「朝」「昼」「夕」「夜」

爽やかな空気と温かい日光につつまれ目覚める朝。青空のもと、きらきら輝く太陽を浴びる昼。日が傾く夕方にはまどろみ、夜になると眠りについて、一日を終えます。一日の4つの時間帯を女性の姿で表わした、装飾パネル「一日」です。

美術史家 小柳由紀子さん「よくみると紅葉がみえたり、夜は荒涼とした風景だったり、一日の時間とともに、四季をあらわしている作品です。『昼』は、他の18世紀の作品でもヴィーナスがキューピッドの矢を縦に持っていて、正午の真上から刺す光を象徴的に表しています。ミュシャの女性も真正面を向いて、まっすぐ立った状態で表わされています」
◆時の動きを感じさせる4枚

ほかの作品に比べて清楚さや格調高い雰囲気を感じさせる「朝」。青みがかった色彩と女性の周りに描かれた窓が、その雰囲気を作り出しています。
美術史家 小柳由紀子さん「流麗な形を使って周りに花や植物で埋めて、そしてまるで窓ガラスの向こうに女性が風景の前に立っているという奥行きを出すような効果。4つ飾った時に流れるような線があり、それぞれの女性のポーズの美しさ、向きや変化があって。ミュシャの作品は静的なんですけれど、この女性はいきいきした動きを感じさせる」
◆美術館で撮影可能

息を飲むほどの美しさは今も昔も、見る者の心をつかみます。「ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者」は6月4日まで、福岡市美術館で開かれています(月曜休館)。会場内の全作品を撮影できます(フラッシュ・動画は不可)














