宮崎大学医学部の3人の学生がヨーロッパに留学し、ウクライナの医師との交流も行いました。3人は、ウクライナの医師から何を学んだのでしょうか。

宮崎大学医学部の6年生、森田華代さん、北爪舞さん、今井宏樹さん。
3人は、臨床実習の一環で、今年3月中旬から今月にかけて、ヨーロッパのスロベニアにあるリュブリャナ大学に留学しました。

ヨーロッパ全土から集まった留学生らとともに大学で講義を受けたほか、病院に配属され、外来診療を見学したり、患者の手当てを手伝ったりしました。

(宮崎大学医学部6年生 森田華代さん)
「私が行ったところは、若い女性医師1人と看護師さん1人で小さなクリニックを回していたんですけど、まずそういうことは日本であんまりないかなと思うので、そこに驚きました」
(宮崎大学医学部6年生 今井宏樹さん)
「日本にはない家庭医というシステム自体に触れられたのはすごくよかったかなと思ってます。まず、家庭医の先生が診て、その後で家庭医の先生が、より先に行く必要があるのか、それともその病院内で収められるのかっていうのを判断して、先に進めるので、(家庭医がいれば)日本の専門医のお医者さんの負担っていうのが、少しは和らいでいるのかなっていうのは感じた」

3人は、この留学で、ウクライナで働くパブロ医師に出会いました。

パブロ医師の講演では、ロシアによるウクライナ侵攻により変化した医療現場の現状も伝えられました。

(宮崎大学医学部6年生 北爪舞さん)
「医療システムが崩壊して、実際に、例えば慢性的な病気とか高血圧とか糖尿病とかはちゃんとした薬を定期的に飲んでたらある程度コントロールができるのに、薬がないから、本来ならコントロールできるはずなのものができなくなってしまったっていうお話があって、それが不甲斐ないとおっしゃってました。」

さらに、人手不足から、医学生が戦争でけがをした人の手当てにあたっているという現状も伝えられました。

(宮崎大学医学部6年生 北爪舞さん)
「まだ実習が始まって間もない医学生も含めて、戦争で怪我した方とかを診たり、しているのが、印象的だった。まだ十分実践をしていないにもかかわらず現場で学ぶという姿勢を取っていて、それがすごいなと思った」
(宮崎大学医学部6年生 今井宏樹さん)
「聴診器の使い方すらわからない学生がいて、現場でそれを1から教えるっていうところも話としてあったので、僕らがこうやって病院で普通に実習ができてるのが、どれだけ幸せなことかっていうのはすごく感じました」

一方で、パブロ医師からは、「悲しみ」ではなく、「強さ」を感じたそうです。

(宮崎大学医学部6年生 森田華代さん)
「ウクライナは戦争に巻き込まれてるっていうイメージであったのですけれども、お話を聞いて、確かに悲惨な状況ではあるんですけど、でもそれにも負けずに頑張ってるよという、すごい強く生きてるなっていう印象を受けました」

3人は、講演に感銘を受け、直接、パブロ医師にお礼を伝えました。
また、3人で作った折り鶴と、パブロ医師の妻が作った人形を交換して交流したということです。

およそ50日間の留学を通して多くのことを学んだ3人。将来どんな医師を目指すのでしょうか

(宮崎大学医学部6年生 今井宏樹さん)
「今回の留学を通して、家庭医っていうものの素晴らしさと必要性というのを感じたので、家庭医と救急医っていうののバランスがとれた、両方できるようなお医者さんを目指していこうかなと思ってます」
(宮崎大学医学部6年生 北爪舞さん)
「新しいことに目を受けて、人との交流というか、コミュニティを大事にして、いい医師になれたらと思う」
(宮崎大学医学部6年生 森田華代さん)
「私は、幼いときから難民支援がしたくて、産婦人科医として難民支援に携わろうと思ってたのですが、今回の経験を通して、家庭医というか、総合診療医といいますか、そういう支援に携わっていきたいなと思う」