「通い相場には手を出すな」。投資とは長い時間をかけて資産をコツコツ増やすこと
――投資はリスクがゼロというわけではないですよね。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
そうですね。例えばリターン5%、リスク20%、この意味は、1年後のリスク、リターンです。つまり、100万円投資して1年後に平均的には5%、5万円儲かります。だけど、株ですから上下に20万円ずつ、20%ずつぶれますよと。これがリスクとリターンの意味です。
――それを聞くと、第一歩を踏み出せない。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
リターンというのは利息ですから利息をまた投資し続ければ、翌年また利息が生まれる。利息が利息を産んでくれるというのをずっと繰り返していくので、雪だるま式に増えていくいわゆる複利効果というもので、リターンは右上がりなのです。一方のリスクは1年後のリスクが20%で、10年後は10倍の200%かというと全然そうではないのです。10倍どころか3.2倍ぐらいにしかならない。リスクは時間が経つと伸び方が鈍くなっていくのです。20年後はリスクよりもリターンの方が遥かに上に行って、正確に計算すると、22年後は元本割れする確率はたった2%以下です。10年後でも元本割れする確率は15、6%です。それよりも80数%の確率で元本が増えるということなのです。
――それを聞くと今、銀行で貯金している方、おうちで眠らせている方は、投資に回した方が。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
昔は郵便局に預けておけば、それだけで年間5%とか利息がもらえたのですが、今は残念ながら金利がゼロです。銀行や郵便局に預貯金で置いておくよりは、一歩目を踏み出して少しリスクを取ってみた方がいいのではないのかという時代になったということです。
――では、今日の格言をお願いします。

「通い相場には手を出すな」。通い相場というのは行ったり来たりする相場です。短期的に上がったり下がったりする。そういうものに付き合う必要なんかありません。長い時間をかけて相場の大きな流れに乗っていく、これが投資の極意です。今日のマーケット、来週の予想というのを全部きちんとチェックしてほしいのですが、それは一つの情報として積み上げていく。だからといって、すぐに売ったり買ったりする投資行動を結びつけてはいけないということです。投資というのは長い時間をかけて自分の資産をコツコツ増やしていくものなのです。
――まず始めるなら、長期投資をするという心構えで始めるのが基本ですか。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
最低10年。できれば20年計画。もっと言ったら30年計画ぐらいで投資というものを考えていただくのが、成功の秘訣だと思います。