ひたすら「自分が書きたいもの」を書き続けてきた デビューから35年
芥川賞作家で「博士の愛した数式」など数々の人気作で知られる、岡山市出身の小説家・小川洋子さん。先日岡山で、番組コメンテイターの春川正明さんが話を聞きました。「ふるさと岡山への想い」や「小説との向き合い方」など、カメラの前で語ってくれました。

岡山市出身の小説家・小川洋子さんです。芥川賞を受賞した「妊娠カレンダー」や映画化でも知られる「博士の愛した数式」など、数々の人気作を世に送り出しました。

小川さんは、同じ岡山市中区出身で、夏目漱石に師事した文筆家・内田百閒の功績を称えた文学賞で審査員を務めていて、4月26日、表彰式に出席するために故郷に帰ってきました。

(授賞式)
「コロナも切り抜けて、この内田百閒文学賞が一層発展していくことを願っています」

(コメンテイター 春川正明さん)
「岡山のご出身ということですが、こちらには時々は帰ってきていますか?」
(小川洋子さん)
「内田百閒文学賞の選考委員のような、岡山にゆかりのあるお仕事をさせてもらったり、親戚の家に遊びに行ったり、岡山とはずっと縁が切れずですね。大学を卒業してまた岡山に帰ってきましたので、芥川賞を頂いた時も倉敷に住んでいましたし、子育てしながら小説を書くという、人生で一番忙しい時期を過ごしたという思い出もありますね」

小川さんは、岡山朝日高校から早稲田大学に進学し、29歳で芥川賞を受賞しました。デビューから35年、作家として貫いてきたことがあるといいます。
(小川洋子さん)
「ただひたすら『自分が書きたいものを書き続けてきた』ということだと思います。今、何が流行っているからこういうものを題材にしようとか、こういうものが求められているんじゃないかとか、そういう社会とか読者のことを意識しないで、ただただ自分が書きたいことを書く」
芥川賞を受賞した「妊娠カレンダー」では、姉の妊娠をきっかけに揺れ動く妹の心情を、独特の世界で表現しました。

(小川洋子さん)
「万人受けはしないかもしれないけど、ユニークな人には届くかもしれないという意味に捉えています」
(コメンテイター 春川正明さん)
「最初のころは売れるとか、読者を惹きつけることは考えなかった?」
(小川洋子さん)
「むしろそういうことよりも、若いころは『自分を表現したい、自分という人間を分かってもらいたい』という気持ちで書く、その気持ちが強かったんですね。『読者のことを思って』というよりも、『自分の方が大事』っていう気持ち。若いころはそうだったんですけど」