アジアバドミントン選手権の6日目がUAE・ドバイで15日に行われた。世界ランク6位の福島由紀(29)/廣田彩花(28)の”フクヒロ”ペアが女子ダブルスの決勝に出場。韓国のペアに21-7、21-14の合計2-0のストレート勝ちを収め5年ぶりの優勝を果たした。
21年の東京五輪では男女シングルス、男女ダブルス、混合ダブルスの合計5種目が行われ、14個のメダルを獲得したバドミントンのアジア勢。まさに”世界最激戦区”ともいえるアジアを制することが来年7月のパリ五輪へと大きくつながる。
堅いレシーブと粘りが特徴のフクヒロペアは18年に世界ランク1位に到達、20年の全英オープンで優勝するなど、世界最強ペアとして君臨。しかし21年に廣田が右ひざ靭帯を断裂する重傷を負いながら出場した東京五輪ではベスト8敗退。3年近く国際大会のタイトルから遠ざかっていた。
復活をかけ臨んだ今大会では1回戦の台湾ペア、2回戦の韓国ペアに危なげなくストレート勝ちを収めると、準々決勝では東京五輪銀メダル、世界ランク1位の陳清晨(チン セイシン)/賈一凡(カ イチハン)の中国ペアにもストレートで勝利。準決勝、決勝でも勢いそのままにアジアの頂点へ駆け上がった。
この試合を解説していた元日本代表の小椋久美子さんは「コンビネーションが非常によかった。完全復活と言っていい」とフクヒロペアを絶賛。さらに「特に自分たちの攻撃に繋げるレシーブがさえており、相手は『敢えて攻めさせられている』と感じていたのではないか。2ゲーム目の福島選手は速いスマッシュを見ながら相手陣地のオープンスペースも見えていたと思う。さらにアジアを制したことに加え、世界ランク1位のチン/カペアに勝てたということも自信にもなる」と分析した。
試合後、本人たちは「怪我、手術をして復帰までのリハビリも苦しかった。そんな中でも福島先輩は待っててくれていたので、自分も頑張れた。復帰してからも中々結果が出なかったりでモヤモヤしていたが、今回優勝という形で終れて本当に嬉しく思う(廣田)」「オリンピックの代表選考レースに入る前にいい結果が出せて良い流れに乗れると思うし、久しぶりの優勝なので凄く嬉しい。いいプレーが2人ともできたし2人らしいプレーだったので、これを今後につなげていきたい(福島)」と充実した表情で大会を振り返った。
バドミントンはパリ五輪への代表選考レースが5月からスタート。8月の世界選手権、9月のアジア大会など、世界中を転戦する。厳しい戦いを前にして、フクヒロペアが「完全復活」を印象付けた。
<全選手結果>
■男子シングルス
常山幹太(銅メダル)、奈良岡功大(ベスト8)、西本拳太(ベスト16)
■女子ダブルス
山口茜(銅メダル)、大堀彩、仁平菜月(ベスト16)、川上紗恵奈(ベスト32)
■男子ダブルス
保木卓朗/小林優吾(銅メダル)、遠藤彩斗/武井優太(ベスト16)、齋藤太一/古賀輝、松居圭一郎/竹内義憲(ベスト32)
■女子ダブルス
福島由紀/廣田彩花(金メダル)、永原和可那/松本麻佑(銅メダル)、志田千陽/松山奈未、中西貴映/岩永鈴(ベスト32)
■混合ダブルス
緑川大輝/齋藤夏(ベスト16)、金子祐樹/松友美佐紀、山下恭平/篠谷菜留(ベスト32)