中学世代では国内敵なし、今や世界を目標に置いている日本ウエイトリフティング界期待の超新星が沖縄にいます。中1で全中制覇に中学記録。17歳以下の世界大会にも関わらず14歳で5位入賞を果たす、怪物を紹介します。
15キロの重りをつけて、両腕だけでロープを登っていく少年の姿。
Q重くないですか?
「ちょっと重いです(笑)」

涼しい顔でハードなトレーニングを積んでいるのは、本部中学3年の天久星七(あめく ほしな)。星七くんは先月、14歳にして見事な世界デビューを果たしました。

国際大会初出場で、14歳ながら17歳以下のウエイトリフティング世界ユース選手権に挑んだ星七くん。男子49キロ級のスナッチ1回目で日本中学記録の85キロに成功し5位につけると。クリーン&ジャークの2回目は、自身が持つ中学記録を2キロ上回る98キロに挑戦すると、見事成功し17歳以下の世界大会で14歳にして堂々の5位に入賞する快挙を達成しました。
それでも、得意のスナッチでは後悔があると言います。
天久星七くん「最後90キロ、いつもだったら挙げられない重量ではなかったんですけど、ちょっと最後で力んだというか。最後の90キロを取っておけば、スナッチで2位だったんですけど、取れなくてそれが悔しくて。少しずつ重たい重量を持てて、どんどん記録が伸びていって楽しくて、もうウエイトは辞められないなと思って」

“世界と戦える”自信がついたという星七くん。主戦場の55キロ級でもスナッチ92キロ、クリーン&ジャーク104キロの日本中学記録を持ちます。
星七くんが指導を受けているのは、本部高校で監督を務める比嘉敏彦さん。小学4年のときから、星七くんは本部高校を拠点に練習を行っています。
比嘉監督「取材が来るとバーバルも軽くなるし、フォームも良くなるね。毎日来てもらわないとね」
少し辛口な比嘉監督ですが、先月は大学生も出場する全日本ジュニアで7位入賞も経験した、14歳の成長を強く感じていました。

比嘉監督「中学世代ではあまり競ったことがないので、そういった意味で本当にやっと大学生などと競えるようになって、やっとしっかりやらないと練習に裏打ちした実力をつけないといけないっていうのが、やっと分かってきたと思います。やらされる練習ではなくて、自分から進んでやっている。ですから今後成長するし記録も向上してくるので見ていてください。期待していいです」
星七くんが共に練習を行っている比嘉監督の子どもたちは、実は国内で各世代のトップの選手たち。彼らの目に映る星七くんの姿とは-
Qベストは同じ?
高校女子日本一 比嘉成さん「一緒です。スナッチは92キロです」
Q刺激し合ったりする?
「結構、はい。星七は、体が重い日とかでも地道にコツコツやっているので、あっちが頑張っていたら自分も頑張ろうという感じにはなります」
全中2連覇中 比嘉功「星七は覚えが早い。最初からできているので、あんまり悩んでいるところを見たことないですね、フォームとかでは」
星七くんの活躍は比嘉きょうだいの刺激にもなっていると比嘉監督は指摘します。
比嘉監督「星七が上に行って、海外に行っているじゃないですか。だから行きたくてしょうがないんですよ。だから記録をこれだけ挙げないとダメとか。そういったのを自分で調べて全部やっているので。土日に出来ればいっぱい練習したいって。“大迷惑”なんですよ私は!私はいつストレス発散するんですか、大迷惑(笑)」

そんな星七くんに、目標とする選手像を聞いてみました。
天久星七くん「堂々として、自分のいつもやっている感じを乱さずというか、色んなところに行ってもいつものように出せる選手です堂々とした選手になりたい」
その訳は…
天久星七くん「「この取材とかもなんですけど、緊張したりしてしゃべれなくなったりするんですけど、そうなったときに終わったときに後悔するので」
Q後悔した取材はある?
「あの前の取材もですけど(笑)」
それは去年1月、中学1年にして全中制覇と中学記録を打ち立てたときの取材。
星七くん(中1のインタビュー)「五輪に出場して、メダル獲るまで、強くなって、(小さい声に)いきたい」
Q全国に行って自分がやっていることのすごさを感じた?
「はい、ちょっと…、感じま…」

初めての取材に緊張しっぱなしだった星七くん取材も試合も、物おじせずに。後悔しない結果にこだわりたいと思っています。
Qきょうは後悔しない?
天久星七くん「大丈夫だと思う」
Q試合の時もそう思う?
「そうです。終わってからもっと出せたなとか嫌なので、全力で、糸数陽一さん(五輪4位)とか、今すごく強い選手で、その人を超すくらいの強い選手になろうと思う…、なります(笑)」
沖縄のお家芸、ウエイトリフティング界の新星・天久星七。世界のメダルを目指して、研鑽の日々が続きます。