ドイツでは国内すべての原発が停止し、「脱原発」が完了しました。しかし、「本当の脱原発はまだ終わっていない」とする抗議の声も聞こえています。

「ようやくきょう原発がなくなる」

ドイツでは15日、国内すべての原発が停止。福島第一原発事故を受けて進めてきた「脱原発」が完了しました。

反原発デモ参加者
「この日のために活動してきた何十万人もの人たちの素晴らしい成功です」

2011年以降、17基あった原発を段階的に止め、発電における原発の割合は、2010年からおよそ4分の1に。一方、風力発電などの再生可能エネルギーは2.6倍以上に拡大しました。2030年には電力消費の8割を賄う方針です。

今回停止したエムスラント原発のあるドイツ北西部・リンゲン。原発は町の経済に大きな役割を果たしてきましたが、市長は「脱原発」を歓迎しています。

リンゲン市 クローネ市長
「何かが『壊れる』どころか、『始まる』という雰囲気です」

「グリーン水素」を製造するプロジェクトを進め、「原発」から「水素」の街に移り変わろうとしているといいます。しかし、同じリンゲンでは…

記者
「市民団体がこうして抗議の声をあげています。というのも、こちらの工場では今でも燃料棒が作られているのです」

リンゲンではフランスに本社がある企業が、国外の原発用に「燃料棒」を作っています。

デモ参加者
「燃料棒を作ること自体が根本的に間違っていると思います」

さらには、新たに計画された事業の相手先がロシア企業であることがわかり、一層、怒りを買っているのです。

全ての原発停止という大きな一歩を踏み出したドイツ。一方で廃炉や最終処分場の選定など課題も多く、今後の行方は各国のエネルギー政策に影響を与えそうです。