中国軍は台湾周辺での軍事演習を開始したと発表しました。演習は10日まで行われる予定で、中国メディアは太平洋に展開していた空母「山東」が台湾東部に移動し、演習に参加したと伝えています。

中国軍の台湾方面を管轄する東部戦区によりますと、軍事演習は8日から10日までの3日間、台湾を取り囲むような形となる、台湾海峡と台湾島の北部、南部、東部の海域・空域で行われるということです。

中国軍は8日の演習について、戦闘機やミサイル駆逐艦、短距離弾道ミサイルを運用する部隊などが参加し、制海権、制空権の奪取能力、さらに情報をコントロールする能力について重点的に検証したとしているほか、台湾島を取り囲み、威圧する態勢を作る訓練を行ったとしています。

また、中国メディアは中国海軍の空母「山東」が台湾東部海域に移動し、演習に参加したと伝えています。

東部戦区の報道官は今回の演習について「台湾独立分裂勢力と外部勢力が結託した挑発に対する重大な警告であり、国家の主権と領土を守るために必要な行動だ」と主張していて、台湾の蔡英文総統がアメリカのマッカーシー下院議長と会談したことへの対抗措置とみられます。

また、これに先立ち、中国の海事当局は8日から20日にかけて台湾の対岸にある福建省の沿岸で実弾射撃訓練を行うと発表しました。台湾に近いエリアで訓練を行うことで軍事的圧力を強める狙いがあるものとみられます。

中国軍が台湾周辺で軍事演習を始めたと発表したことについて、台湾で対中政策を担う大陸委員会は8日、声明を発表し、「厳重な抗議」を表明。「台湾海峡と地域の平和と安定を破壊している」と強く非難しました。

また、蔡英文総統は、台湾を訪問しているアメリカ議会下院のマコール外交委員長が率いる議員団との昼食会であいさつし、「台湾の人々は民主主義を愛し、平和を求め、国際社会で責任を果たすことを強く望んでいる、と繰り返し訴えたい」と強調しました。

マコール外交委員長は「戦争ではなく平和のために台湾軍への訓練を提供する」と述べました。