「新しい半導体の町」へ 派遣会社では“半導体産業に特化”の研修も

工場の完成を前に今、半導体関連の求人数が増えている。

日研トータルソーシング 増井宏二執行役員:
熊本に関してはここ3年で3.44倍です。どうしても人が足りない。特に経験者という意味では人が足らない。需要が大きいので争奪戦になるのではないか。

そこで、人材派遣会社日研トータルソーシングが行っているのは半導体産業で働くための研修だ。現場さながらの製造ラインも用意し、装置の組み立てから設備保全までメンテナンスの基礎を学ぶことができる。すでに製造業で働いている人材に対してもリスキリング=学び直しを促して人材不足の解消を目指す。

日研トータルソーシング 増井宏二執行役員:
最高の研修を提供して人材を育成して配属させていきたい。それで日本の半導体に協力したいと考えています。

人口4万3700人余りの菊陽町の𠮷本孝寿町長は、人口が5万人になれば市政に移行できると意気込む。

菊陽町 𠮷本孝寿町長:
必然的に近い将来5万人になるのかなと思っているので、受け入れに向けての生活、教育、渋滞対策などを含めた上で新しい半導体の町になっていければいいなと思っています。町としても工業用地などまちづくりに必要な土地の確保の必要性を県や国に改めて訴えていきたいと思っています。

TSMC進出による熊本県への経済波及効果は10年間で4兆3000億円程度になるという試算もある。

菊陽町 𠮷本孝寿町長:
今回のTSMCの進出という千載一遇の機会ですが、菊陽町だけでなく熊本県そして日本全体につなげられるようにこのビッグチャンスを生かしていきたいと思っています。

菊陽町にできるTSMCの工場は投資額1兆円を超え、半分が政府補助だ。この工場は1700人も雇用するということで、2024年には完成し、25年には出荷したいということだが、これだけではない。

周辺を見ていくと半導体関連企業が集中している。TSMCをはじめ東京エレクトロン九州など多くの企業が集積している。

――部材、製造装置、ユーザーも集まって一大クラスターが形成されているところにこのブーミングの理由があるのだろう。

慶応義塾大学 白井さゆり教授:
地政学リスクの高まりの中で台湾に集中させる危険度があるということで、一つのあり方として日本の地域経済が非常に潤う、成功する一つのきっかけになりました。ただ、政府の補助金がすごく大きいので、こういった案件を何件も日本でできるというわけではないと思います。半導体業界は今すごく競争が激しくて、台湾のTSMCも強いですが、この間、韓国の専門家と話していましたら、韓国のサムスンもTSMCに対抗してどんどん莫大な投資もしていますし、海外のアメリカの企業なども誘致しています。世界的に西側諸国での連携が高まっているけれども、半導体で各国がすごく競争しているなという感じを受けます。

いかに半導体集積地の魅力を高めていくかという地力が問われる展開になってくるのだろう。

(BS-TBS『Bizスクエア』 3月25日放送より)