いわゆる「袴田事件」で再審=裁判のやり直しを認める決定が出たことを受け、検察は3月20日、特別抗告を断念する方針を固めたことがわかりました。これにより再審開始が確定することになり、袴田巖さん(87)は再審公判で無罪となる公算が大きくなりました。
20日午後4時半すぎ、検察の抗告断念の一報が浜松市内の袴田さんのもとに入ると、支援者は散歩から帰った袴田さんに抱きつき、喜びを分かち合いました。弟とともに、半世紀以上闘ってきた姉のひで子さん(90)は。
<袴田ひで子さん>
「再審開始の時と一緒でうれしかった。本当にこれで安心」
57年前、旧清水市(現静岡市清水区)で一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」。東京高裁は3月13日、死刑判決が確定している袴田巖さんの再審開始を決定。この決定では事件の証拠を捜査機関がねつ造した可能性にまで踏み込んでいました。
最高裁に特別抗告するかを検討し、3月20日がその期限。東京高検の山元裕史次席検事は「承服しがたい点があるものの、特別抗告の申し立ての理由があるとの判断に至らなかった」とのコメントを出しました。
これにより、再審開始が確定することになり、袴田巖さんは再審公判で無罪となる公算が大きくなりました。
87歳の袴田さんは死刑執行の恐怖と48年間に及ぶ拘留によって、精神的に不安定な状況が続く「拘禁症状」といまも闘っています。弁護団や支援者は、袴田さんが高齢であることなどを踏まえ、20日も東京都内で特別抗告をしないよう求めました。
また、弁護団がウェブサイトで始めたオンライン署名は急速に広がり、19日午後7時時点で約3万6,000人以上が抗告を断念するよう署名。18日には、2014年に静岡地裁で再審開始の決定と袴田さんの釈放を決めた村山浩昭元裁判長が初めて公の場で検察をけん制するなど検察への批判が高まっていました。
<静岡地裁 村山浩昭元裁判長>
「これで特別抗告するなら、まったく理由がないのではないか。私はもし袴田事件で特別抗告をしたら、検察の特別抗告は法律で禁止しなければいけないという意見がもっともっと高まると思う」
<袴田さんの姉 ひで子さん>
「ちょうど(巖さんが)帰ってきた。説明したんですが分かってるんだか、分かってないんだが、反応は鈍かったです。巖の言った通りになっているんですね。だからこのまま進んでいってもらいたい」
<袴田弁護団 小川秀世弁護士>
「検事からお電話いただきまして『特別抗告はしない』というお話をいただきました。それで私はなんて答えたかというと『ありがとうございました』と。いや、ホントにうれしかったもんですから」
20日午後6時45分から検察庁が会見を開き、正式に抗告の断念について発表する予定です。これで再審開始が確定することになり、袴田巖さんは再審公判で無罪となる公算が大きくなりました。
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