田中角栄元総理が就任直前に出版し、ベストセラーとなった「日本列島改造論」の復刻版がきょう発売されます。

「日本列島改造論」は田中氏が通産大臣であった1972年6月に発表した国土開発のあり方などをまとめた政策本です。道路などの交通インフラの整備や東京・大阪・名古屋など都市部に偏在していた工場の再配置を通じて、都市と農村の均衡ある発展を進めることなどを訴えています。

この年の7月に行われた自民党総裁選で田中氏は「列島改造」を公約の柱として戦い、ライバルであった福田赳夫氏らを破り、総理総裁に就任しました。

「日本列島改造論」は91万部のベストセラーとなるなど当時の社会現象となりましたが、第4次中東戦争をきっかけに起こったオイルショックで“狂乱物価”と呼ばれる物価高騰に見舞われたことから経済政策の見直しを迫られ、「列島改造論」は後退し、1974年に田中氏は退陣しました。

出版から50年が経過したことを機に、出版元である日刊工業新聞が復刻版を出版することとなったもので、長女の田中真紀子さんが序文で「田中角榮という敗戦後の日本政治の一翼を担った政治家の、内政に関する構想が『日本列島改造論』には詳しく提示されている」などと、この本の意義について解説しています。