銃社会アメリカでアジア系の住民は人種別の銃所持率が低かったんですが、最近、銃を持つ人が急増しています。意識の変化の背景には解消できない「不安」がありました。
アメリカ西部・ロサンゼルス近郊の射撃場。
銃に慣れるための授業が行われていますが、参加しているのはほとんどがアジア系です。ここでは受講者に占めるアジア系の割合が増え、その大半が一度も銃を触ったことがない人だったといいます。
射撃場インストラクター トム・ニュエンさん
「アジア系は街で安全だとは感じていません。“恐怖”を感じています」
もともと銃所持率が低いアジア系は「銃から遠い」人種でしたが、所持率は2020年に半年で42%も急増。新型コロナの拡大に伴い、激化したアジア系へのヘイトクライムを背景とする「不安」が大きな要因として指摘されています。
ベトナム系のIT技術者エディ・ドウさん(34)もそのひとり。3年前、初めて拳銃を購入し、ときおり練習に通っています。
エディ・ドウさん
「パンデミックでロックダウンになった時、何かが起きる前に家族を守ろうと思い、銃を買いました」
こうした中、1月にはアジア系が多く住むロサンゼルス近郊の街で銃乱射事件が起き、旧正月を祝うイベントに参加していた11人が殺害されました。
記者
「事件から2か月が経過しようとしていますが、現場近くの市役所には11人の犠牲者を追悼する場所が設けられています」
住民の65%をアジア系が占め、治安が良いと言われた街で事件の衝撃はいまだに残っています。
事件現場付近の住民
「ここは本当に平和で、高齢者も安心して出歩けたのに」
「おじいさんを見ても銃を持っているのではと思うようになってしまいました」
住民の銃に対する意識にも変化が…。
銃規制が厳しいカリフォルニア州では特別な許可がない限り、銃を持ち歩くことができませんが、現場近くの銃販売店では事件前には全くなかったこの許可に関する問い合わせが急増。アジア系を中心に毎月60件以上も受け付けていると言います。
銃販売店オーナー デイビッド・リューさん
「中国系の人々は銃を怖がっています。そんな人たちでさえ、銃を持ち歩きたいと思うようになった。何かがおかしいです」
バイデン大統領は日本時間けさ、現場近くを訪れて演説し、殺傷能力の高い銃の規制を強化し、「安心できる社会のために力を尽くす」と訴えました。
一方で、3年前に初めて銃を買ったエディさんは不安が解消できず、銃を3丁まで増やしました。
3年前に初めて銃購入 エディ・ドウさん
「誰かが銃を持っていて、私が持っていないければ不利になります。自分以外は信用できませんから」
アジア系住民にも広がる銃。今年アメリカで死傷者が4人以上出た銃撃事件は110件で、2018年以降、最多のペースで発生しています。
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