「シリーズ現場から、」です。富山県では毎日1人のペースで高齢者が行方不明になっています。「消える高齢者」の現状とその対策を取材しました。
警察官
「どこから歩いてこられたの?」
男性
「一番遠いところ」
警察官
「けがはないですか?」
男性
「ないよ」
警察官に保護される85歳の男性。この日の朝、自宅を出て行方不明になっていました。左足は靴下、手に靴を持っています。
富山県警が過去1年間に発表した高齢者の行方不明に関する情報では、おととしは1年間に70歳以上の高齢者322人が不明に。毎日1人が自宅などから消えているのに近い計算です。
今年1月、富山県射水市で行方不明になった83歳の男性。自宅を訪ねると、本人がいました。男性は5年前に認知症と診断されました。夜中に自宅を出て、翌朝、自宅から7キロ離れた路上でうずくまっていたといいます。しかし、本人は…。
行方不明になった男性
「道?」
妻
「夜中に」
行方不明になった男性
「これ何かあったん?」
妻
「これを履いていってました。これ、私のサンダルです」
男性は認知症になる前、多趣味で几帳面な性格だったといいます。陶磁器や美術品、骨董品を集めるのが趣味でした。
行方不明になった男性の妻
「(Q.認知症になられてからは?)全く。興味ないといえばいいか」
取材をしていると突然、外へ。心配になり、あとをついていくと、前日に降リ積もった雪を片付けていました。また自宅を出て行くのでは…。妻の不安は消えません。
行方不明になった男性の妻
「何かいい方法あります?たくさん見ておられるでしょ?何かいい方法ないですか」
富山県は用水路の総延長が1万2000キロもあり、行方不明になった高齢者が用水路に転落し、遺体で見つかるケースが相次いでいます。
高齢者を早く見つけるには…。富山県警が8年前から取り組む、安全情報ネット。行方不明の届け出があった直後に、服装や特徴などを登録者にメールで知らせる仕組みです。
この高齢者も安全情報ネットの連絡がきっかけで保護されました。
高齢者を発見した人
「高齢男性の行方不明ということで。特徴が似ているということで、ひょっとしたらと思って」
しかし、発見につながったのは、まだ数人。登録者も1万9200人あまりにとどまります。
富山県警生活安全課 米納努次席
「(安全情報ネットで)行方不明者の特徴を確認していただきまして、可能な範囲でかまいませんので発見活動に協力していただきたい」
多くの人の目で高齢者を守りたい。県警は広く登録を呼びかけています。
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