2023年1月Twitterに投稿された1枚の写真。投稿からわずか3日で2万件のいいねがつき、全国のネットニュースにも取り上げられました。

投稿したのは晩白柚カラーがお似合いの八代市に住む若手農家です。

桑原健太さん「こんなツイートがバズるんだ?っていう感じでした。バズるってことはみんなそれが当たり前じゃない、みんな知らないんだっていうのがあるので、晩白柚ってみんな知らないんだなって一番感じました。」

桑原健太さんと東京都出身の妻あかねさん。「やつしろ」の地名を全国に広げようと、普段からSNS発信に力を入れています。

健太さん「Twitterがきっかけで“八代”と“晩白柚”覚えましたって人がけっこう」
あかねさん「(SNSで)やつしろさんって呼ばれてるんですよ。やつしろさんのおかげで八代覚えましたって言われて」
2人は現在、祖父から引き継いだ農園を営んでいます。育てているのは晩白柚や甘夏・はっさくなど昔ながらの品種です。

健太さん「柑橘農家減ってきていて、少なくってきているっていう話は聞くんですけど、だからこそそこに勝機というかチャンスがあるかなと」
健太さん、実は元銀行員。以前は、県内の銀行マンとして4年間営業を担当していました。しかし2022年、祖父よしたけさんが高齢のため農業を引退。農園の跡継ぎを決めた健太さんでしたが、当時の経営は厳しい状況にありました。

健太さん「新しく販路を拡大していくっていうのは前提というか、まず1番に考えた」
そこで、健太さんの銀行マン仕込みのトークスキル、あかねさんのSNSの発信力でこれまで行っていなかったインターネットでの商品販売や東京の飲食店などと商談を次々成立させ、販路を全国に拡大。売上を約10倍にまで伸ばしました。

続いて目をつけたのはこれまで廃棄処分してきた規格外品。

健太さん「こういったものも中を剝いてそまえば(味は)問題ないから、ジュースにする」
2人は規格外品の晩白柚や甘夏を使ったジュースを作ることに。

果物の風味を損なわない「コールドプレス」という製法でゆっくりとすりつぶして作ります。

2月に行れたマルシェ。そこには真新しいキッチンカーでジュースを作るあかねさん2の姿が。この日初めて1人で販売します。

お客さん「100%ジュースで」
あかねさん「ちょっと…ちょっと待ってもらっていいですか。氷が…」
お客さん「氷が…間に合いません?」

あかねさん「詰まった。私がコールドプレス機を使うのが今日はじめてなんです。だからもたもたしちゃって。氷もないし」
その後、家族に氷を届けてもらって製造再開。

お客さん(母)「おいしかった?」
お客さん(子)「おいしい」

お客さん「材料が美味しいと何も手を加えずにそのまま頂いた方がやっぱり美味しいのかなと思って」
先日、桑原さん夫婦の目標に近づくプロジェクトが始まりました。
SUNABACO 中村良 代表「ヤツシロヤは八代の魅力を発信して農家の魅力を発信することで、農産物を売っていくということを最終目標としています」

八代市とさまざまな事業を全国展開する「スナバコ」などの企業が立ち上げた新たなブランド「ヤツシロヤ」。今回、桑原さんは農家としてディレクションに関わります。
健太さん「八代で作ってるのに熊本産としか見られない側面もある中で、八代っていうのをもっとPRしていきたいなと」

八代の農作物で作った7種類の中、桑原さんの晩白柚を使った商品が「晩白柚ピール ラムシロップ漬け」

使われているのは晩白柚のワタの部分。地元ではなじみ深い砂糖漬けをヒントに生まれました。

健太さん「昔の人が作ってたようにこういうもの(砂糖漬け)を作って、さらに一歩進んだようなものを作っていく」
中村博生 八代市長「柔らかい。うまい」

祖父から引き継いだ柑橘のPRに始まり、今や地元「八代」の看板を大きく掲げる挑戦となっています。
健太さん「熊本の経済圏だけじゃなくて、もっと九州とか日本とか広げていって、八代っていうものを広く知ってもらって、地元の仲間たちと一緒に稼いでいけるようなものを一番作りたい」














