9日に開幕するWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を戦う侍ジャパンに、最後に招集された牧原大成選手(30、ソフトバンク)。「能力が高い選手だしすべての面で信頼している」と栗山英樹監督(61)がその選出理由を語るように、内外野をこなす超ユーティリティプレーヤ―だ。鈴木誠也選手(28、カブス)の出場辞退から急遽侍ジャパン入りを決意した経緯や、育成同期入団で侍ジャパンの“先輩”、千賀滉大(30、メッツ)、甲斐拓也(30、ソフトバンク)とのやり取りを明かした。

Q.よろしくお願いします。激動の数日間だったと思うんですけど、どんな日々でしたか。

牧原選手:
やっぱり、実際に合流するまで眠れない日々もありましたし「本当に自分でいいのか」という気持ちが一番強かったです。

Q.代表入りの連絡はどういう形で伝わったんですか。

牧原選手:
まず練習終わって宿舎に帰るときにバスの中で(ソフトバンクの)藤本監督から電話がかかってきて、至急部屋に来てくれって言われて。球団のGMと監督から「ちょっと侍から招集がかかっているから」っていうふうに連絡をいただいて、そこで初めて知りました。

Q.言われたときにはどのようなお気持ちだったんでしょうか。

牧原選手:
いや素直に「噓だろ」って思って、それが一番素直に思ったことです。

Q.自分の中で結論を出すのに時間はかかりましたか。

牧原選手:
本当はもうちょっとじっくり考える時間がほしかったんですけど、本当に1日もなかったので。でもその中で自分で考えて出した結果だったので、いい選択だったのかなって今は思います。

Q.牧原さんご自身の中で、このWBCという大きな大会というのはどのような思い入れがありますか。

牧原選手:
自分がプロに入る前、イチローさんの素晴らしい、誰にも、誰の記憶にも残るあのシーンというのは本当にプロに入る前から見ていたので、そのイメージが強いですし、本当にデカい大会なんだなって思います。

Q.あの2009年、世界一になった当時、ご自身は高校生?

牧原選手:そうですね。

Q.どういう状況でご覧になっていたか覚えていますか。

牧原選手:
高校の授業中で、クラスメイト全員野球部だったので、授業を中断してテレビを見てました。

Q.それはそれはエキサイトして見ていたのではないかと。

牧原選手:
いやもうめちゃくちゃ興奮しましたね。

Q.そこから育成でプロに入られて、同じように育成で頑張ってきた同期の選手たちもその後、海を渡ったり、代表に入ったりだとかそういう仲間がいらっしゃいます。どのような励みになっていたのでしょうか。

牧原選手:
やっぱり千賀(2017年WBC代表、2021年東京五輪代表)も、(甲斐)拓也も侍ジャパンを経験して、年下の周東(佑京)も経験して僕だけ何もなかったので、すごく頑張ってほしいっていう気持ちはもちろんあったんですけど、その中で自分が選ばれない悔しさというのはすごいあったので。今回名前を呼んでいただいたときはやっと追いついてこれたのかなと思いました。

Q.今回、甲斐選手や周東選手とはお話はされましたか。

牧原選手:
代表入りを決める、返事をする前に拓也とLINEでやり取りをしたり、周東に関しては電話して「どうしたらいいんやろ」って相談をしたりして、千賀にもメッセージは送りました。

Q.みなさんからどんな返事がきていましたか。

牧原選手:
周東は「一緒にやりたいんで待っています」ということと、拓也は「一緒にやれたらいいよね」ってやり取りして。千賀とはやっぱり「せっかくなら同期3人そろって戦いたかったよね」って。千賀からはそんな感じのメッセージをもらいました。

Q.さて、牧原ご自身のこのジャパンでの役回りというのはどのように捉えてますでしょうか。

牧原選手:
本当に自分自身今まで色んなポジションを守ってきたので、その辺を栗山さんも評価してくれてると思うので、どこでも守れる、どこでも行けるっていうところをこのチームではやっていかないといけないのかなと思います。

Q.栗山監督からは何か直接言葉はありましたか。

牧原選手:
そうですね。今年僕もホークスでセンター一本でやりたいというのをずっと言ってて、内野も練習もあんまやってない状況だったので栗山さんからは「マッキーがセンター一本で行くってことも分かってて呼んでるから、気負わずに頑張ってくれ」って言われました。

Q.さて、いよいよ始まります。決勝までいけば最大で7試合という、短くもあり、深い、濃い。そんな戦いになるかと思いますけど、牧原さんご自身はどういう戦いを予想し、そして期待しますか。

牧原選手:
そうですね。1試合1試合が重い試合になると思うので、そこはしっかり気を引き締めてやらないといけないと思いますし、でも本当に心強い仲間たちがいるので、そこにしっかり自分も加わって、何か一つでもチームの勝利に貢献できるように頑張りたいなと思います。

Q.世界一になるためには何が必要だと考えますか。

牧原選手:
本当にスーパースターの集まりだと思ってるんで、チームにならないと勝てないと思っているんで、やっぱりチームワークっていうところや、一人一人の役割、そういったところをみんなで大事にしていけば自然と勝てるのかなと思います。

Q.右の腕のところに日の丸がついています。改めてこの日の丸がついたユニフォームを着た実感というのはいかがでしょうか。

牧原選手:
そうですね。やっぱり侍ジャパン、それこそトップチームなので、すごい重みがありますし、国民の想いっていうものを背負っていかないといけないと思うので、すごい緊張してますけど、このチームだったら絶対大丈夫だと思うので、自信を持って頑張りたいなと思います。

Q.そして背番号5番、こちらいかがですか。

牧原選手:
そうですね、5番というのは僕の中ではチームメイトだった松田さんのイメージがあるので、松田さんが乗り移ったようにしっかり元気出して頑張りたいと思います。

Q.世界一に向けた活躍を期待しています。ありがとうございました。

(聞き手:初田啓介アナウンサー)

■牧原大成
1992年10月15日生まれ。福岡出身。172cm、73kg。右投左打。城北高校(熊本)~ 2010年育成ドラフト5位入団。同期には千賀滉大(育成4位)、甲斐拓也(育成6位)がいる。昨季はキャリアハイとなる120試合で打率.301、42打点、6本塁打、123安打。