プラグインハイブリッド車を含むEVの販売台数で2022年、テスラを抜いて世界一となった中国の「BYD」が1月末、日本で販売を始めた。日本市場参入の勝算はあるのだろうか。販売会社BYDオートジャパンの東福寺厚樹社長に話を聞いた。

EV発売から13年で世界一 武器は独自開発のバッテリー

1月31日、中国のEV最大手BYDは日本での販売を開始した。第1弾として投入されるのは「ATTO3」。日本でも人気が高いミドルサイズのSUVだ。

モータージャーナリスト 桃田健史氏:
だれが乗ってもあまり違和感がない。ハンドリングもしっかりしているが、決して重いとか乗り味が硬いとか、柔らかすぎるという感じでもない。多くの方が気にするのは満充電での航続距離=バッテリーの容量。ATTO3の電池の大きさと航続距離、モーターの性能だと、単純計算して市場に出回っている日系の車と比べてざっくり100万円ぐらい安いです。

桃田氏はこの5年で中国車の性能が格段に上がっていると指摘する。

モータージャーナリスト 桃田健史氏:
中国国内で海外のメーカーは地場のメーカーと協業しない限り製造販売できないというルールがあるので、海外から学んだものがすごく大きい。日本で過去40年も50年もかかったものが10年ぐらいで獲得できるというのは、近年の自動車メーカーの成長の特徴です。

2009年の最初のEVの量産開始から13年、驚異的な成長の秘密とは。BYDジャパン社長、劉学亮氏に聞いた。

BYDジャパン 劉学亮社長:
日本の消費者に問うたのは電気自動車を持ちたいか持ちたくないか。なんと3割ほどの消費者が「持ちたい」、「考えたい」という回答をしました。使いたいのだけれども商品がないといった声も多くいただきました。

1995年にバッテリーメーカーとして創業したBYDは、2009年のEV発売からわずか13年でなぜ世界の覇者となれたのだろうか。

BYDジャパン 劉学亮社長:
電池の研究開発を始めた会社であるのが我々の原点です。厳しい実証実験に常にチャレンジをし、安全、安定、安心できるような電池を我々の車に乗せることをずっと追求してきました。

大躍進をもたらしたイノベーションがブレードバッテリーだ。高価なレアメタルを使わないので安価で耐久性が高いのが特徴だ。ブレードバッテリーは発火の原因である熱暴走が起きにくく、安全性が高いとしている。

BYDジャパン 劉学亮社長:
電池は生き物ですので、研究開発さらに性能、安全に配慮することがBYDのものづくりに大いに役に立つのではないかなと思います。

独自開発の自社バッテリーを武器に世界のEV市場を席巻する中国の黒船は、日本の自動車勢力図を塗り替えるのだろうか。