高知県室戸市役所の庁舎整備をめぐる住民投票は19日の即日開票の結果、「耐震補強」が「移転建て替え」を大幅に上回ったものの、「結果を尊重し整備を検討する義務が生じる」投票率50%を下回りました。

1983年に建築された室戸市役所庁舎は津波浸水区域内にある上、4年前の耐震診断で「大規模地震が発生した際に崩壊または倒壊する危険性がある」と指摘されました。このため室戸市は庁舎整備検討委員会からの答申を受け、「移転建て替え」「耐震補強」の両面で検討を進めていました。ただ「移転建て替え」の場合、費用が概算で47億円あまり必要とされ、耐震補強の費用を3倍ほど上回ったことや、植田市長の説明に疑義を唱えた市民が住民投票を請求。19日投開票が行われました。

開票の結果、「耐震補強」が3478票と「移転・建て替え」の1506票を大幅に上回りました。投票率は46.43%で、市長や市議会が「結果を尊重し整備を検討する義務が生じる」投票率50%を下回りました。

(住民投票を請求した 久保田浩さん)
「安心しました。やはり室戸市民の反対の声がこれぐらいあったんだろうなと思いました。市民から見ても(移転・建て替えの)必要性ですね、必要性がほんとにあるのか、市民の感覚と行政の方がずれているという感じではないかと思います。7割が反対しているということですので、それをどう市長が判断するかです」

(室戸市 植田壮一郎市長)
「(自身の考えとして)高台移転をすると決めた気持ちにはありませんけども、今後どうするか判断する時にしっかりと住民投票の結果を受け止めて考えていきたいという状況。議会に提案するときには市民や議会の皆さんの賛同が得られるようなところに住民投票の結果も、あるいはもっと広く市民の方々の意見も集めて私の判断として提案をしていきたい」

庁舎整備をめぐり植田市長は、移転を進めるのか、耐震補強にするのか、「9月議会までに提案する」としています。