愛媛県立中央病院は17日、県内に住む10代女性患者が去年2月、下あごの手術後に呼吸困難に陥り、20日後に死亡したことを発表しました。
(愛媛県立中央病院 菅政治院長)
「結果的に信頼を裏切ってしまう事になりました。亡くなられた患者様に心からお詫びを申し上げるとともにご冥福をお祈りいたします。残されたご遺族にも心からお詫びを申し上げたいと思います」
病院によりますと、死亡した女性は去年2月、歯のかみ合わせを矯正するため、あごの位置を後ろにずらす手術を受けた後、呼吸困難に陥り、手術から20日後に死亡しました。
(愛媛県立中央病院 近藤裕司医療安全管理部長)
「できるだけ早い時点で宿直や救命救急、ICU業務のため院内に駐在している医師に相談や診察の依頼をしていれば救命できた可能性を否定できない」
手術の翌日、一般病棟に移った女性。夜になって吐き気や痛みを訴え、日が変わって午前2時半、ナースコールを受け看護師がかけつけると呼吸困難感と強い吐き気、さらに顔面の腫れや下唇の内出血が確認されました。
その10分後、看護師が自宅で待機していた形成外科医に連絡しますが、医師はただちに病院に駆け付ける必要はないと判断。呼吸がしやすくなる対応を伝え、経過観察を指示します。
しかし、その30分後、患者は息がしにくいと訴え、看護師が別の看護師に応援を要請。吸引を行いましたが口や鼻から管が入らず、その後、呼吸が停止。
ここで看護師が救急科の医師を呼び、心臓マッサージを開始。数分後に救急科の医師が到着し、呼吸は再開しました。
しかし、手術から20日後、低酸素脳症で死亡しました。
(愛媛県立中央病院 近藤裕司医療安全管理部長)
「各看護師、医師の判断とか医療行為に過失はないが連絡における病院のシステム上の問題があるのではないか」
愛媛県立中央病院は、「手術や術後管理に明らかな誤りはない」とした上で、患者の容体が急変する前に看護師などが院内にいる救命医などに相談しやすいシステムを去年10月に導入したと説明しています。
愛媛県と遺族の間でおととい示談が成立し、17日、公表に至ったということです。
【手術後の経過】病院の説明
▽手術翌日
14:00 女性がICUから一般病棟に移される
21:36 ナースコールがあり女性が吐き気訴える
23:30 ナースコールがあり女性が痛みを訴える
▽手術の2日後
2:30 ナースコールがあり、女性が呼吸困難感と強い吐き気を訴える。前の日に比べて、手術跡が腫れて固くなっていた。顔面から首にかけて、口の中まで腫れ上がり、下くちびるも腫れが強く、内出血を起こしていた
2:40 看護師が自宅で待機している形成外科の医師に電話。連絡を受けた医師は、出血量が少ないことなどから、病院に急行する必要はないと判断し、経過観察を指示
3:10~25 ナースコールがあり、女性が息がしにくいと訴える。吸引チューブの挿入を試みるも、管が入らず
3:35 女性が呼吸停止状態に。救急科への緊急コールと、看護師による心臓マッサージが始まる
3:39 救急科の医師が到着。チューブの挿入が行われる
4:04 女性の呼吸が再開。再び集中治療室に移され、人工呼吸器による管理下に
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