国内で年間約3億9000万トン排出されている産業廃棄物は、処理に費用と手間がかかるため不法投棄が後を絶たず、厄介もの扱いされています。しかし、自ら看板に「頑固なゴミ屋さん」の文字を掲げ、近い将来全国的な問題となるといわれている「太陽光パネル」のリサイクルに取り組んでいる会社が。頑固なゴミ屋さんに密着しました。

「環境維持の一助を担っている」仕事に誇りを持ってゴミ屋を名乗る会社

愛知県豊川市にある産業廃棄物を処理している加山興業株式会社は、プラスチックや木材、金属くずなど年間5万8000トンあまりの産業廃棄物を処理しています。会社の看板には「とっても頑固なゴミ屋さん」の文字が。「さん付け」にはしていますが、自らをゴミ屋と言うそのこころは。

(加山興業・加山順一郎代表取締役)
「“資源循環リサイクル業”と言われても何の資源をどのように循環させてどうリサイクルさせていくのかなかなか見えないが、(ゴミ屋さんは)一番わかりやすいしうそ言ってないなと」

同業者から“「ゴミ屋」は止めたら?”と言われることもありますが、必ず出る産業廃棄物の処理で社会を支えるという誇りを持って大きく打ち出しているそうです。

(加山興業・加山順一郎代表取締役)
「ゴミ処理が止まると、世の中が大変なことになってしまう。(環境維持の)一助を廃棄物処理業が担っていると自信を持って日々の仕事に取り組んでいる」

引き受けた産廃を、単に細かく砕いて燃やしたり埋めたりするだけでなく最も力を入れているのがリサイクルです。

ゴミの中から使える資源は機械や手作業で徹底的に抜き取ることで、リサイクル率は全国平均の52.7%を大きく上回る82%に。できる限り埋め立てるゴミがないように、産廃から固定燃料を作り出すなどリサイクルに取り組み、資源として販売もしています。

分別不足で収集車が火事になることも…小学生にゴミ屋の仕事を授業

加山興業は、小学生向けの教育に特に力を入れています。取材した日は、豊川市の豊小学校で校庭にパッカー車を乗り入れ、子どもたちに収集車に乗ってもらったり、ゴミを収集車に投げ入れたりする体験を通して「ゴミ屋さん」の仕事を楽しみながら伝えていました。

(加山興業・経営企画室・池田陽帆さん)
「みんな投げ入れてくれているけど、本当のゴミは結構重たいから(収集車の)運転手さんって大変なんだと思ってくれたらいいな」

また、子どもたちは正しく分別をして捨てないと、回収したときに1200万円もする収集車が火事になるケースもあることを学びました。

(4年生の児童)
「(以前は)ゴミを触って汚くないのかなというイメージだった。頑張ってくれる人がいるから私も(分別を)頑張ろうと思った」

ゴミを扱う仕事へのネガティブなイメージを払拭するために、今まで延べ60回以上訪問授業を行い、約3600人の児童にこの仕事について伝えてきました。